「と言うわけで、本日は鈴樹様が婚約者の小春様をご紹介しに見えますので皆様宜しくお願いします」
(トミー、鈴樹様ってどんな?)
(素直になれない甘えん坊ってとこかな。和樹坊っちゃんと同属性だぜ)
ど う ぞ く せ い と な
「…………聞いていますか、活性化した料理長」
「私は最高の料理を作れば良いんですよね。そんなのいつだってまかせてくださーい」
さて、今日は何を作ろうか
とりあえずトミーから鈴樹坊っちゃんの好きなものを聞いて、小春さまのデータはどこから貰おうか………
さっとトミーから机の下から回されたメモには
鈴樹坊っちゃんのデータが書かれていた
ぐっじょぶトミー!!
昼食は、終わった
3時のおやつも準備してあとは出すだけなので
思う存分、鈴樹様とやらと小春さま&坊っちゃんとあまねさまを堪能しよう!!いやするんだ!!
はずだったのに
「志岐、ちょっとそこの棚にこれをアルファベット順に並べてください」
渡された大切そうなファイル約20冊
先ほどからこんなくだらねぇ用事で私の時間はがっつり削られていた
「メイドに頼めば良いんじゃないですか執事長」
「いえ、一応機密なのでここは信頼のおける人物でないと」
「ふざけんな、私の至福の邪魔をするな」
「…………貴女と小春様を逢わせたら、鈴樹様がお怒りしてしまいそうなので却下です」
鈴樹様が怒る=
かわいいのか!!あまねちゃんみたいにかわいいのか!!!
みたいみたいみたい!!!
なのにこのオールバック野郎は私を解放してくれない
じろりとにらむと、はぁと溜め息をつきながら執事長さまはペンを置いた
万年筆とか、もう本当に若くない
「志岐が私の名前を呼んで、キスをしてくれたら特別に見逃しましょうか?」
「安いね…………涼」
安い。安いもんだ
やや高めの、甘えるような声で彼の名前を呼ぶと
涼はわかりやすいくらい狼狽えた
そんな彼に歩みより、キスをするときには
執事長さまは、顔を真っ赤にしていた
『そして彼女は解き放たれた』
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