到着したのはとても大きなショッピングモール



二人っきり⇒駄目
けれど下着なら仕方がない




と言うわけで下着ショップからやや離れたところで出入口を見張りながら待機する男二人という状況が出来ました



「あまねさまー、ちょっと携帯の電源切って貰えますか?」


「え、あ、はい」


「ちなみに私以外の人に言われてもそんなことしちゃダメですよ?あまねさまみたいな可愛い子、誘拐されちゃいますからね」


「あ……はい」


可愛いなぁ
素直で可愛いなぁ





ま、今から私が誘拐するんだけどね








「まーきちゃん!!」

「うげ、おねぇ何しにきたのよ」

「そんな連れない妹でもちゅーしたいくらい大好きだよ。売り上げに貢献してあげるから、今すぐちゅーされたくないならちょっと裏口から逃してくれない?」

「……また変な男にでも付きまとわれてんの?」

「あはは、今度はスーツだよ」




昔はお姉ちゃんっ子だった可愛い妹は今やランジェリーショップの店員さんだ
大きくなったよなぁ……胸以外。

そんな失礼なことを思いつつも万札を二枚渡すと入り口から死角を通して搬入口へ繋がる従業員ようの裏通路に通してくれた妹に感謝をした




「タイプは?」

「紐と見せブラ」

「……相変わらずセクシー路線ね。わかった、お屋敷に送れば良い?」

「よろしくー。あと搬入口にタクシー回しといて」

「警備員は?」

「私がクビになるからいらないよー」

「……おねぇ、何してんの」

「あはは、天使を誘拐ー」


さて、時間との勝負だ
あまねさまの柔らかくて暖かくて小さくて可愛い手をにぎり急いで裏口を走る


「あ、あの、」

「坊っちゃんには秘密の方が良いでしょ?ちょっとした逃走ごっこね」

「は、はい!!ありがとうございます!!」


あー、もう可愛いなぁ
本当に誘拐しちゃいたいくらい素直でぽややんで可愛い

坊っちゃんの何よりの宝物なのがよくわかる

それゆえ、もし今回の誘拐劇でなにかヤバいことしたら私一発解雇だろうなぁ





そんなことを軽くだけ考えながら
搬入口から出ると戸惑うあまねさまをタクシーに押し込む




「えっと、志岐さん?お買い物じゃないんですか?」

「買わずともなんでも揃ってるところがあるから、大丈夫大丈夫。……せっかくだからさ、作っちゃおうよ」

「あ……なんだか御迷惑をかけてしまってすみません」

「そこはありがとうって言われたいなぁ。あ、運転手さん国道脇のボウリング場あたりまでお願いします」




まるで借りて来た猫みたいに、しゅんとしだしたあまねさまの柔らかな髪を撫で撫ですると
ちょっと瞬いてから、ふにゃりとわらららららららららら


かわえええええ!!!!!!




「───ありがとうございます。さっきの人は、志岐さんの妹さんですか?」

「うん。お姉ちゃん思いの優しい子なんだ。あと弟もいるよ」

「彼女にも御礼をしなくてはいけませんね。でも羨ましいです、志岐さんみたいな素敵なお姉さんがいて」



フラグか
フラグきたこれか
現在タクシーのおっちゃんと私とあまねさまのみ。



止める輩はいねぇ!!!!






「…………あまねさま、ちょっと『志岐お姉ちゃん』って言ってもらえませんか」













「しき、お姉ちゃん?」




理性崩壊
あふれでる欲望



もしこのとき、坊っちゃんか執事ちょーさまがいたら
確実に私は不審者としてつまみだされただろう




「かああああわいいいいい!!!!!可愛い、可愛い、あまねさま可愛いよぉ。もうなんでこんなに可愛いの!!!!」


たぎる煩悩のままにあまねさまを抱き締めて
思いっきり頭を撫でまくる
ああもう良い匂いだし可愛いし柔らかいし暖かいし


「……ふふふ、あの、志岐さん……これから御迷惑で無ければお姉ちゃんってお呼びさせていただいても宜しいですか?」

「え、なにその御褒美。死ぬほど嬉しいんですけど。あまねさま私を萌え殺す気ですか」

「えへへ、じゃあお姉ちゃんも私をさまって呼ばないでほしいんですが」





ゴクリ





たった一言に、こんなに緊張をしたことは
そうそう無い












「あまねちゃん…?」





「はい!!!」





うわああああもう可愛いよ何この子持って帰りたいよマジで天使だよ可愛いよ良い匂いだよぉぉぉぉ





そんな私のちょっと危ない考えを遮るかのように
私の携帯が震えた



…………ナイス執事ちょー、マジで犯罪者になるとこだった




「もしも『志岐!!!貴女いまいったい何処にいるんですか!!!!!』」


「あまねさまは預かった。返して欲しくばスーツを脱いでラフな格好になるように」


『はぁっ!?何を言ってるんですか貴女は『おい鷺田、ちょっと代われ。おい、あまねは無事なんだろうな!?』』


「あまねちゃん、坊っちゃんが代われって」


はい、と私の携帯をあまねちゃんに渡して

場所は秘密ね、と小声で囁いて唇の前に人差し指を立てて笑う



「もしもし和樹くん?あのね、お姉ちゃんがあまねちゃんって呼んでくれたの…え?…えっとねぇ……秘密!!えへへぇー」




うわーかわいー
エンジェルだ。マジで天使だ
萌え萌えしながらあまねちゃんから携帯を返してもらうと、携帯の向こうでは坊っちゃんが切れてた

あー、坊っちゃんも可愛いなぁ



『おいあまね!!馬鹿なこと言ってないで場所を教えろ!!』


「残念ながら駄目ですよー。と言うわけで30分間携帯の電源は切るのでその間に鷺田のラフ写メを送ってくださいねぇ。そしたら30分後に場所を教えますからばいばーい」






ぷつっと携帯を電源まで落とす






まだまだ誘拐は始まったばかり



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