よく言われてしまうんだけど
「この、親の七光りが!!あんたなんて家柄だけじゃないの!!」
全く、そのとおりだと思うんだ
私は凄く立派なお家に産まれただけの、平凡以下な女の子で
私は、大したことが出来ないから
私の何かを利用したいなら、すれば良いと思っていた
私では期待に応えられないから
私を利用して期待を叶えたら良いんじゃないか
そう思って、私はいつもにこにこ笑っていた
私には価値がない
価値があるのはおうちだけ
「あまねちゃーん、算数の教科書忘れちゃったんだあ。貸してくれる?」
「いいよー」
わかっていたのに、
「利用されてへらへらしてんじゃねーよ!!もっとしっかりしろばか野郎!!」
価値があるおうちが、無能な私に選んだ婚約者の男の子は
凄く怒りっぽくて優しい子だった
怒られ慣れてなかった私には和樹くんは凄く衝撃的だった
「……ごめんなさい」
「ったく、次はねーからな。ほらお前もあまねの教科書返せよ!!忘れたんなら他のクラスの奴に借りろ!!同じクラスのあまねが貸したらあまねが忘れたことになんだろ!!」
ぽいっと、投げられて
私の手元に戻ってきた教科書と
『婚約者なんだから、あまねの隣よこせ』
転入早々そう言って、私の隣になった和樹くんを見比べる
「しっかりしろよな。って、なんであまねの筆箱シャーペンと消しゴムしかねぇんだよ」
「あ……頂戴って言われたか「あげたのか?」」
こくり、と頷くとはあああああと深くため息をつかれ
とりあえずごめんなさいと言うと軽く頭を叩かれた
「学校終わったら買いに行くぞ」
「あ、でも私無くしちゃうかもしれないし」
「無くしたらまた買ってやるから。だけどな、この俺が買ってやるんだから誰かにあげたりしたら………許さねぇからな?」
なんとなく頷いた方が良い気がしてこくこくと頷くと、ぐりぐりと頭を撫でられた
色んな人に利用されるのが、当たり前だと思っていた
私には期待に応える力がないから
でも、でもね
そんな私を利用されないように、和樹くんが守ってくれるから
私も利用されないようにがんばってみようって思ったんだ
『怒られても嬉しい』
だがしかし婚約者は語る
『ぼんやりあまねの自己防衛は、鴨がネギと土鍋をしょってるのから土鍋が無くなった程度しか効果がねぇ』と
婚約者の苦労はまだまだ続く
帰