「か、母さんが?俺が、死んでた?」
「……彼女は何よりもお前が生きることを望んでいた。自らが殺されても良いと思ったんだろうな……あの最期じゃ」
その言葉で
まっぷたつになった母さんを思い出して、かっとなってローブの男に掴みかかる
「なんでっ、なんで母さんを助けてくれなかったんだ!?」
「……悪いが、俺はそんなに何でもかんでも助けられるほど強くない」
「っ、」
目頭が燃えるように熱い
涙がぼろりとこぼれたら、あとはもう止まらなかった
「アキルゥ、泣かないで」
そんな俺を抱きしめてくれるミフレ
涙が止まらないしミフレにすがりつきたいけど――――俺は、化物だから
果たして化物になった今でも前みたいにしても良いのか迷った
「…恋人か?」
「あぁ」
「………お前が、闇の生き物として生きたくないなら……その子くらいならなんとかしてやる」
「は?」
「……闇の生き物と一緒に逃げた人間なんて、捕まったら拷問尋問で殺されるぞ」
背筋がぞっとしたろくに調べもしないで俺に切りかかってきた審問会の人たちなら、それくらいやりそうだ……
「……良い。ミフレは俺が守るし…母さんが身をていして守ってくれたんだ。生きたくないなんて、言えないよ」
「…………そうだな。じゃあお前が、そいつを守ってやれ」
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