男は語った。本当は俺は8歳の時に死んでいたのだと…










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森の中を、ぼんやりと歩いていると


「っ!!!!あなたが、闇の王!?」

「……は?」



血まみれの子供を抱いた母親に詰め寄られた
その子供は見るからに死にかけで、即死んでもおかしくないのは一目瞭然だった


神聖魔法をかけてやろうか迷ったが、さすがにここまで瀕死だと意味が無いだろう


「お願い!!この子を助けて!!なんでもするから、なんでも良いから、この子を助けて!!」

「………闇の生き物にねだっても、人間としては死ぬのが確実だぞ」

「生きて、くれれば……この子が生きてさえくれれば、なんだって良いわ」






闇の生き物になってでも
生きてて欲しい
その為なら、私はなんでもしますから……




『“……殿下……”』




「ねぇお願いだから!!助けてよ!!」


甘い後悔しか無い悪夢に囚われかけ、我にかえると
俺は迷わず子供に俺の命を注いだ…………けれど、この子供も闇の生き物になって後悔をしたらと思うと躊躇う


「こいつの歳はいくつだ」

「え?8歳だけど」

「……なら8年だ。16までは、生きていた年月のおかげで人間として生きられるようにしてやる。けれど17になったら……こいつは闇に落ちる」


もしも、こいつも俺と同じように
闇に落ちるくらいなら死んだ方がましだと思ったのならば





「もしもその時、こいつが死にたいと望んだら殺す。それが助けた条件だ」



 



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