全てがスローモーションに見えた
逃げる人たち
迫る審問会の人間
俺にすがり付くミフレ
そんなスローモーションの中
ただ一人、素早い動きで目の前に現れた先程のローブの人物
その人物を目視した途端、視界がブラックアウトした
「……怪我は無いな」
腰に来る良い声のローブで覆われた男に話しかけられて、俺とミフレははっと我に帰った
「え?なに?え、なんで?私たちアキルゥの家にいたのになんで?なんで町外れなの?」
ミフレの声に気がつくとそこは町外れの空き地だった
色々と理解が出来ない
先程のことも
突然の移動も
――何故か目の前の男に引っ張られる感覚も
「アキルゥ」
男はまっすぐに俺を見つめて、名前を呼ぶ
ローブからちらっと見えた目は青で髪は黒で、すっげぇ美形だった
「八年前の約束通り、人間のお前を殺しに来た」
「は?俺を殺す?」
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