「アーキルゥ!!こっちこっち」
「お待たせミフレ。どこ行きたい?」
「んー、噴水広場の露店でも回ろうか?」
「あぁ」
可愛い彼女とのデートに、母にたいして抱いていた心配はすぐに隠れる
ずっとずっと好きだったミフレ
告白したとき、あたしの方がずっと前から好きだったんだから!!と言われたときは不覚にも泣きかけた
「……?」
突然
何かに引き寄せられるような感覚がして辺りを見回すも、そこにはいつもの石畳が広がるばかり
「アキルゥ?」
「あ、ごめん……」
引っ張られる感覚はきえなかったが、なんとも無いし気にしないようにした―――が、
前方の広場の人混みに
全身をローブで覆った人がいた
フードのせいで顔も見えない
その人はじっとこちらの方向を見ていて
何故か急激に引き寄せられた―――……
「あ……き…アキルゥってば!!」
「え、あれ、ごめん」
「もーぅ、そんなに私と一緒なのつまらない??」
「はは、まさかソレはないよ」
ミフレに呼ばれて、むくれた彼女を宥めてからもう一度前方を見ると
そこにはローブの人物はいなくなっていた
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