俺が住んでる街は、幽霧の森っつー化物の巣窟が近いせいでよく化物達が街を襲って来るけど
そのぶん異端審問会のエリートさんたちにがっつり守られ、たくましくも元気に生きる街だ
そんな街に、俺は母さんと二人で暮らしてる。父さんは戦争で死んだらしい
ちなみに、5年片想いした結果
み ご と !!付き合うことになった一個上の美人なミフレっつー彼女がいます
今日はその彼女と付き合って始めて迎える17の誕生日。プレゼントの期待もでかい楽しみな日なのに……
「母さん、ごめん行ってくるね?今日は早く帰るから」
朝からテンションだださがりなのは昨日の母の発言に加え、未だに母が部屋から出てきてくれないからだ
「なんか土産いる?あ、せっかく誕生日だしラダおばさんのとこでケーキ買ってきても良いよな?」
『はやく』
「ん?」
『早くアキルゥが帰ってきてくれれば、それで良いわ』
あれ?母さんそんなに親ばかだったっけ?ミフレに妬いてんの?
なんて
そんなことが言えるような、空気じゃ無かった。重い、とにかく重い
母さん涙声だし
デートをキャンセルしようかしばらく悩んだけど………
母さんは、肉親だしずっと側にいてくれるけど
ミフレは最悪フラれて別れる可能性があるから
「わかった。なるべく早く帰るから」
俺は昨日の発言をサプライズか何かの準備だと決めつけてデートに行くことにした
『アキルゥ、母さんはあなたを愛しているわ。産まれてきてくれて本当にありがとう――』
家を出るときに聞こえたそんな言葉に、胸が騒いだ
――――まさか、
これが母さんと交わした最後の言葉になるなんて、
そのときの俺は全く想像もしてなかった
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