「はあああああ」


庭の適当な段差にどかっと座り、ため息をついてからむかつくくらいによく晴れた空を見上げる

なんで、こんなに仲良くなれねーんだよ

俺はただ、唯一の兄弟だから仲良くしたいだけなのに




「どうした、でっかいため息なんかついて。また女の子にでも逃げられたか?」

「あー、絶世の美女にまた逃げられた」

「あぁ、殿下か」



さりげなく、本当にさりげなく俺の隣に座った大事な親友のニー
付き合いが長い上になんでもかんでも相談しちまう癖がついてる俺のことは、俺以上によく知ってる


仕事をさぼって逃げ込む場所までばれてるんだから心底恐ろしい


「どうすりゃあ仲良くなれんのかなー。ちなみに目標はお前んとこのちびっこ達くらい仲良くなりたいんだが」

「セルディ殿下と?あの方お兄ちゃん!!って歳でもキャラでも無いから無理じゃね」


ニーがそこまで言うなら、きっと希望はめちゃめちゃ薄い
俺はこの戦いが持久戦と思い知ってがっくりとうなだれた



「でも、」

「ん?」




さああああ、とタイミング良く風がふいて
ニーの髪を揺らす。
そのときニーが見せたふわりとした、演技も策略も無い素の笑顔

こいつも、この甘いマスクと微笑みで女の子に話しかけたら一発なのになぁ





「カイはどんなに嫌われてても諦めないんだろ?どんなに砕けたってまたあたりに行くんだろ?」

「────当たり前だろ。兄弟は仲良くすべきだし、仲良くしたい」

「……俺はそんなカイの、無茶苦茶をも通そうとがんばる所大好きだぜ────────ウザくても」




不覚にも
ニーがあまりにも柔らかな空気を出すから一瞬それにのまれた。のに、最後の最後で落とされて、笑いながら立ち上がる

それにつられてニーも立ち上がって、



「お前なぁ、ウザイってなんだよウザイって」

「事実だろ?ほら、そろそろ良いお兄ちゃんでいるためにも仕事するぞ」

「ったく、仕方ねぇなぁ」

ガン、と軽くニーの頭を小突いて
何すんだよ、と脇腹を突かれ返されて


二人で笑い合いながら執務室に戻る









諦めないに決まってるだろ
無茶を通して、諦めないで守って、身分を越えて


俺はこんなに大事な親友を捕まえたんだ


きっと、きっとセルディと仲良くなれたらこれ以上に幸せになれるだろうし?
そのためならお兄ちゃん、頑張っちゃうもんな




『くじけないお兄ちゃん』




「あー!!ニー、今夜は女の子適当に引っかけに行くぞ!!」

「いや今日は予定が」

「ダメだ!!お前がいるといないとじゃ引っかかり率が段違いなんだよ!!仕事なら明日手伝ってやるから!!」

「手伝うも何も、お前の仕事だろ………じゃあ先方にお前から断っといてくれよ。話す機会にもなるし」

「誰かと会食だったのか?」




「うん、セルディ殿下と」




「むしろ俺が代わりにセルディと飯を食う!!っつーかなんでお前そんなにセルディと仲が良いんだよ!?」

「あはは、カイ男の嫉妬はだっさいぞ?」

「やかましいっ!!そうかなら今日はセルディと飯か!!??やべぇさっさと仕事終わらせる速攻でやんぞ!!ほら、もたもたしてんじゃねぇよ」


「仕事中に遊びに逃亡したのはお前だろ」








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その後の食事の様子がありありと想像出来る不思議(´・ω・`)



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