シャーペンの芯を短く折り、もそもそと何かを描く那智留さん
テトリスに飽きたのか最近は比較的外に出てくれるようになった。
──────まぁつれないのは変わらないが


「むー、白と黒だけじゃ表現出来ないなぁ」


ちなみに俺は、真剣に描く那智留さんを真剣に見ている。
右手には、兄貴から借りてきた可愛らしい人形サイズのお洋服



是非とも、着てほしい


なのにずっと那智留さんは「今は忙しいから後でね」とこちらを見向きもしない
見て、くれない。だからずっと待っている



















待っている

















待っているんだ……



















いい加減心が挫けそうになったとき、ようやく那智留さんがこちらを振り向いた


「はい、伊吹あげる。一応居候させてもらってるからさ」


そういって差し出されたチロルチョコより僅かに大きなサイズの紙に描かれたのは……







俺の笑顔だった




ヤバい嬉しすぎる

「なちっ!!」

「ぐぇ」

感極まって那智留さんを潰れないようにしながらも抱きしめる
なちはため息をつきながらも嫌がらなかったから…………俺はしばらく那智留を抱き締め続けた




可愛らしい服なんか、どうでもいい
結局俺はこのちっさい少女が大好きなんだ。




















「これでしばらく大丈夫かな」ぼそ

「ん?なんか言ったかなち?」

「なーんでもー」



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