「なちーただいまー?」


トントントントントントン

帰るなりティッシュ箱を叩くが、返事は無い
那智流が好きなテトリスの音もしない


不思議に思い、ティッシュ箱を持ち上げると





軽い箱
その下には




『そうおん、ひどいので、いえでします』



と書かれた紙があった












ドタドタドタドタドタ!!
バンっ!!


「兄貴、なちるさん知らねぇ!?」

「ちょ、待ってくれ」



勢いよくかぎり兄貴の部屋を開くと
兄貴は珍しくテレビゲームをやっていた



「ろく、左ひだり!!」

「なち、ジャンプいっくよー」



びょーっんと画面の中でジャンプをする某赤いおっさん
その画面の前には、リモコンの右半分と左半分でぴょんぴょんとジャンプをする















ちびっこが二匹いた




「二人とも次のステージ行ったら休憩な」

「「はーい」」


愕然とする
兄貴と(緑青と)仲良くゲームをする那智留の姿に


俺は毎日毎日、那智留さんが出てくるのを家に居る時間はずっと待っていた

なのに全然相手をしてもらえなかったのに、なんで兄貴と仲良いんだよ!!

いやでもとりあえず、嬉しそうにぴょんぴょんしてるなちが可愛い
俺は絶望に彩られながらもとりあえずちびっこ二人を写メった











「で、なんで那智留がここにいるんだ」

「最近ティッシュ箱トントンの騒音が酷いので避難してきました」

「それで一緒にゲームしてたの」

「「ねー?」」


顔を見合わせてねー、とかすげぇ可愛いなぁちびっこども
兄貴も同じ意見なのか嬉しそうにデレていた

「まぁとりあえず、なち。お前はちょっとくらい伊吹を構ってやれよ?可哀想だろこんなに一生懸命なのに」

「そこがうざったいんですよかぎりさん」

「あ、伊吹凹んだよ」


うざったい
うざったい
うざったいんですよ


露骨に凹む俺を救ったのは
やはり家族で一番頼りになるかぎり兄貴だった
















「なち、言うことを聞けないからお前の大好きなクリームプリンもう買ってきてやらない「わかった。ほら伊吹抱っこされてあげるからおいで」」












俺はその日から、プリンと引き換えに一日一時間は那智留さんに遊んでもらえるようになった


なんだか腑に落ちないが今の俺は幸せだ



『家出とプリン』













「なぁろく、なちって伊吹嫌いなのか?」

「んー?気に入ってる方じゃないかな。かぎりちゅー」

「ちゅー。にしてはなちって冷たいな」

「なちは甘えるより遊ぶ方が好きなんだよ。かぎりすりすりー」

「ろくは本当に可愛いなぁ」



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -