みのきけんを、かんじる


「ほら、銀?そんなところにいないでこちらにおいで?」

「えんりょします」


樹の影にかくれて、うさんくさい笑顔で手招きする私の養い親をじっと睨みあげる
たぶん、いいひとなんだけど
なんだか、いつもねっとりとした視線の危ない人な気がするんだよね


「駄目ですよ。さぁ早く来なさい?」

「なにも、しない?」

「します」


きっぱり言い切られて、ショックを受けるも私のすみかは今のところココ以外無い
むしろこのおうちの外の世界を知らない私は、六花の掌から逃れることはできないんだ


「ちょっとだけ悪い子でしたね?でもどんな銀でも愛してますよ」


掌の上で正座をすると、本当に見た目だけは極上な六花にうちゅっとキスをされた

初めてのちゅーは孵化した直後に六花に奪われた






『私の全てを差し上げますから、愛して下さいね』




嬉しそうに嬉しそうに、まだ卵のからが頭についた私にそう言ったかれ

てんかい、早すぎじゃない?
顔も知らないおかあさん、おとうさん、私には彼を幸せにするなんて荷が重すぎると思います




六花との生活はまだ始まったばかり



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