朝、前髪を引っ張られる感触で目が覚める
ぼんやりと目を覚ますと、目の前には俺の髪を握る小さな緑青がくぅくぅと寝息をたてながら寝ていて
もぞもぞ もぞもぞ ……………にこぉ
「どんな夢見てるんだろうな」
タオルにくるまりながら嬉しそうに寝ながら笑う様子に、俺まで笑みがこぼれてくる
この小さな生き物はなんなのかは分からない。分からないがきっとこの子は俺を幸せにするために産まれて来たんだ
小さな小さな頭を指先で撫でて、
俺は再び眠りについた
「はぁ………良いなぁ、兄貴。俺もなちるさんと遊びてぇ」
「ほら、早くしねぇと大学に遅れるぞ」
緑青に浅黄から借りた人形の服を着せながら、がっくりと肩を落とした弟を見送る
────その僅かに数分後のことだった。
腹の上に緑青を乗せてソファに横になりまったりしてると、突然緑青が起き上がり辺りを見回す
「ん?なちる居るのか?」
「居る気がする」
「かぎりー、ごはんー」
いつの間にかソファの背もたれに乗っていたなちるは、そのままぼふっと俺の腹に落ちてきて緑青とじゃれだした
双子の緑青となちるは、かなり仲が良い
だがしかし、伊吹はそれを知らない。
なちるは伊吹がいないときしか外に出てこないから
「なちるさん、もうちょっと伊吹に優しくしてやってくれよ」
「だっていぶっきー、ご飯じゃなくてお菓子ばっかくれるんだもん。ふとることくらい考えてよね」
「なち、ぷにぷにー」
きゃっきゃっとはしゃぐ二人を見て苦笑いを込み上げながら
小さな二人の朝食を用意すべくソファからたちあがった。
『なちると緑青は和食好き』
帰