その日から彼にとらわれる生活が始まった












牛の化物……牛頭鬼さんは、参ったどうしようと言いながら私を軽く肩に乗せ担ぎ明るい日差しの中、山を歩き回る

彼いわく、気分を変えて良い方法が浮かばないか考えているらしい


その恐ろしい顔が近くて離れたいけれどくっつかないと落ちてしまう
けれどあまり触れたくない


「なんもしないから、ちゃんと掴まりな」


そんなことを葛藤してると、促されてしまったから渋々彼の顔に手を伸ばして掴まる


恐い、恐い、恐い


とにもかくにも、その容姿が恐ろしい
目の前にある角も恐ろしい


「ああ、ついでにそのままそこの木になってるリンゴを取ってくれないか」


きょとり、とするも
そのまま手を伸ばして赤く熟したリンゴをもぐ
これくらいの高さなら、牛頭鬼さんでも手が届きそうなのに


「……はい」

「ああ、それはあんたが食べると良い。美味そうだろ」


…………。
確かにリンゴは好きだったし、美味しそうだけれど


けれど、



「私、死んでるから食べられません……」

「あ!!わりぃ……」

「いえ、」




私は、死んだ身体なせいか
排泄も無ければ食事も必要無かった
むしろ食べ物を食べると吐いてしまった


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