流れ星に願う


※漫画版佐久間イメージ捏造設定



佐久間は無色透明だ。


空を見ればその広大さに感動し
空気を吸えばその繊細さに感嘆し
地を歩けばその悠久さに畏怖し



悪者に絆されればその巧みさを疑わない





「源田源田!さっき咲山が来た時、流れ星に願い事をすると願いが叶うって聞いたんだ!」

「そうか」

「だから俺達の怪我が早く治りますようにって祈っといたぞ」

「ちゃんと流れ終わるまでに祈れたか?」

「ううん」

「それじゃあ意味ないんだぞ」

「えっ、そうなのか?知らなかったー」

「そうか」

「でも今聞いたから次は大丈夫。早く流れないかなー…星」


一つの部屋、二つのベッドで茜色に染まり風に煽られ心地好く揺れるカーテンを見ながら
世宇子に完敗する前と同じ
何も変わらない穏やかな語らい、温かい時間を過ごしていた



「星だぁ?馬鹿じゃねぇの。願いは叶えるもんじゃねぇ、達成させるもんなんだよ」



佐久間の愛らしい声の間にこの病室に居ない筈の何者かの声が横入る

入口を見ると仲間ではない知らない顔


「達成させるもの?じゃあ星に願うのは意味なのか?」

人を疑う事を知らない佐久間は突然の来訪者にも怯まずに疑問を投げ掛けた

佐久間は仲間が怒ると怒る
泣くと泣く
読んでれば一緒に読む
悩めば一緒に悩む
まるで自分の意思だけが抜け落ちて生まれてきたかのように

たまにこんな綺麗な佐久間が恐ろしくなる
何色にでも染まる佐久間だから、自分の色を見せ続けていないと誰かの色で汚されてしまいそうで
そんな儚さに惹かれて、いつしか自分の色を分け与える快感に病み付いた


「一緒に来いよ。強さが欲しいんだろ?」

「強さがあれば鬼道さんや源田や皆とまたサッカーができるのか?」

「ああ、当然だろ」

「じゃあ欲しい」



意味を理解しているのかいないのか
佐久間は最後まで無邪気な笑みを絶やさなかった






流れ星に願う
佐久間の幸せをどうか守り抜きたいと

例え誤った道だとしても
目先の笑顔のため後の涙は見て見ぬフリ


石に懺悔する
天国へ上る階段の辛い色を教えられる勇気もなく
地獄の中の楽園に佐久間を閉じ込めた俺をどうか許してください、と





地獄ごと楽園を崩壊させてくれる日が訪れるまで、ずっと





end

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