お前が居ないと生きられない


※真帝国戦後、捏造設定




佐久間は心配で心配で今にも心が折れて倒れてしまいそうだった

いつもいつも、あれからもう毎日
佐久間が死んでからというもの鬼道は毎日佐久間の墓へ通い詰めていた


夜になると何かしらの花を持って必ず現れ墓に手を合わせてから自分に何かを訴えかけ、そして深夜を過ぎるとマントを翻し闇に溶け込むように帰ってゆくのだ

このままではほとんど眠っていないであろう鬼道の体が壊れてしまう
そう思うだけで体が無い筈の佐久間の調子が崩れてしまっていた


今日もまた来る
鬼道は仲間を中途半端なところで捨てるような人間ではないから、きっと来る回数は減れど一生通い詰めるだろう


案の定来た
今日もその手には手向け花が当然のように佇んでいて

授業に勉強に練習、それらをこなしてから来るから疲れているのだろうか
佐久間を見る鬼道の表情は重い


手向け花を墓前にそっと置くといつもと同じように手を合わせ黙祷し、それから覚悟を決めたように苦しそうに顔を上げる
そして俺に何かを訴えるけど聞こえない

そういえば源田がたまに説教じみた事を言うとき、いつも俺は都合の悪いことは聞こえないフリをしてたっけ

鬼道さんの透明な声を聞きながら、もう訪れない懐かしい記憶を思い出しふっと温度のない笑みが漏れた。











「源田、お前が死んでから佐久間が此処から動かない。飯も食べない。病院も行かない。何もしない。泣かない。何もできない。なぁ源田、もし俺の声が届いてたら佐久間も連れていってやってくれ。あいつはもう駄目だ、佐久間は……」










<お前が居ないと生きられない>
  <二人を引き裂いたものが死だと云うのなら>
    <願わくば死を以て再び無に戻らん事を>



今日も降り続く優しすぎる雨
手向け花も雫を落とし涙する。












end

源田が居ないと生きられない佐久間/猫メガネ様リクエスト

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