嫉妬


源田に嫉妬する佐久間/えりこ様リクエスト
※カプ指定なかったので勝手に源佐久




煮え切らない態度を取った事は認める。
年頃なのだ。可愛い子から異様に押しの強い性的なアプローチをされたら動揺くらいはする。

ただ、運が悪かった。
俺も佐久間もとにかく運が悪かっただけなんだ。



気が付いた時には自分の事情などお構いなしで告白してきたその女子は、振られた事実に憤り、不意打ちに俺の手を取って己の胸へ。

そこに偶然清掃当番だった佐久間が通り掛かる。




そのまま。
今に至るまで、佐久間と会話が出来ていない。




非常に怒っている、と思う。

表情こそ普段と変わっていないがオーラが明らかにどす黒い。
もし話し掛けようものなら病院送りの刑に違いない。

実際辺見は佐久間の八つ当たりを受け保健室行きになり放課後練習は見学を余儀なくされた。


佐久間は部室の椅子に座って俺と眼を合わせようとすらしない。
だがまだ誰も来ていない今が絶好の仲直りチャンスなのだ。
めげそうになりながらも隣に腰を下ろし顔だけを佐久間の方へ向ける。

「佐久間、聞いてくれ」
「……」
「今朝のは違うんだ」
「……」
「あれは、相手が勝手に

ガタン!!!



大きな音を立て佐久間が立ち上がる。
そのまま乱暴に荷物を纏めて部室を出ていく。
去っていく足音はやがて消えた。

結局仲直りできないどころか余計に佐久間を怒らせてしまった自分の腑甲斐無さに傷心し、俺はその日佐久間を追い掛ける事は出来なかった。
明日こそはもう一度ちゃんと謝ろう、そんな気持ちを秘めながら…。




翌日、とんでもない光景を目にするところから始まった。




佐久間と重なる知らない影
まるで恋人同士がするそれのように甘く唇を貪り合って
思考が、止まった



佐久間は俺に気付くと微笑んでそいつから離れ、俺に近付いてきた。
その妖艶の笑みに射止められ俺は呆然と立ち竦む。

綺麗な顔を崩さない堂々と浮気をした恋人は、久しぶりに愛らしい声を聞かせた。


「これに懲りたら告白くらいはっきり断るんだな」



見通していた。
佐久間は俺が不可抗力で女子の胸を触ってしまったのを。
そして俺が中途半端に相手を突き放せなかった事も、全部。

恐ろしい洞察力に脱帽する一面、非常に伝わり難い嫉妬の表現をする恋人に苦笑しながら、消毒と証してその唇に自分のそれを重ねた。




end

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