Prova a parlare con lui. Così mi è stato un prigioniero di guerra.
「ねえ、君、名前なんていうの?」
無言。
「オレ、桜木名前って言うんだ。よろしく」
無言。
いい加減、オレ怒ってもいいかなあ。流石にここまで無視されてるのも腹が立つ。気が長い方じゃないんだ。
いや、いかんいかん。高校に入ったら落ち着きを持って行動すると誓ったはずだ。
オレは出来る。オレはできる。オレは真面目に生きる。
そして中学時代果たせなかった友人というものを手に入れるのだ。
道も別のクラスでつまんねえしよお。あーあ、なんで道のクラスに水戸がいるんだよ。水戸ずりいよ、変わってくんねえかなあ。
双子の弟である桜木花道は一年七組で、オレは十組。せめて隣にしてくれと思った。
にしても、隣のこいつ本当に返事しねえなあ。入学式の最中もずっと寝てたし、オレとしては交流したいんだけど、どうしていいのかさっぱり分からない。
女の子だったらわかるんだけど野郎と仲良くしようと考えたことなかったからなぁ。
あ、机にうずくまった。完全に寝る体制じゃねえか。
オレの席順では右にこの無愛想な男、前に女の子、後ろに女の子、左に女の子が座っている場所に位置されている。この男以外周りに男がいないのだ。
野郎の友だちを作ると意気込んでいただけに思わずため息がでてしまう。
「流川…、楓」
オレのため息を聞いたからか、反応が遅かっただけなのかは分からないが無愛想な隣人はそう答えた。
「流川、か、かえでちゃん…」
さっきまでの態度が態度だっただけに、野良猫に餌付けが成功した感覚になる。なんだか嬉しくて女の子を呼ぶようについ楓ちゃん呼びをしてしまったが、楓は寝入ってる為に怒られることもなかった。
寝付くのが早すぎだ。もっと会話したいと思う。
帰りのホームルームが始まるが、楓はぴくりとも動かなかった。そしてホームルーム後も……。
「おーい、流川。ホームルーム終わったぞ」
ゆさゆさと揺らしても起きない為に、鞄を机にガンとあてると、どこか定まらない瞳で中を見つめていた。
「流川? お前大丈夫? ちゃんと帰れる?」
こくりと頷く楓にオレはちゃんと反応するんだなぁと感動していた。
今日配られた教科書の類は机に残したまま、自分が家に持ってかえるものを流川の鞄にも積めてやる。道の相手を十五年もしていた為に自然とやってしまったことだったが楓は鞄の中を漁られることを嫌がっていないのでいいのだろう。
というか、多分まだ頭が寝てる気がする。
そして、オレは楓に鞄を持たせて立たせた。こうでもしなければこいつはずっと眠ってそうだったからだ。
道の元に行くか、楓を送っていくか迷って、七組に向かった。
したら花道がいねえでやんの。
先に帰ったのかと思えば鞄はある、この状況。そこに桜木軍団がやってきた。
「あれ? 名前じゃねーか」
うっせえよ、大楠。いわれなくても名前だよ。
「花道知らねえ?」
「こっちが聞きたいわい」
「なんだ、知らないのか。お前も一緒に帰るか? 花道探すなら丁度良いし」
「いや、いい。じゃあな。道によろしく」
花道がいないのならいい機会だ。楓はまだ虚ろな目をしているだろうから楓と帰ることにしようと決めた。
元来た道を歩き出し、教室へはいれば、壁に寄りかかって寝てる楓がいた。
「ほら、お前どこに住んでいるんだ? 送ってってやるから」
道離れするいい機会だと思った。楓の面倒を見るのも楽しそうだとオレはこれからの高校生活に胸を躍らせた。
言ってみてよ。それで僕は虜になる
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