02. Because it was tired



 へろへろになりながら家に帰ってきた。
 バイトやだ、バイトしたくない。ニート最高。ニート万歳。
 しかしながら人は生きる上で金を使わずにはいられない。食費が一番でかい。
 流石に大学さぼってもバイトをさぼるわけにもいかない。この前一週間休んだら店長に怒られた。

 いや、だってシフト出すときにそれで出してたでしょうが……。

 なんて言葉は俺の胸の中に仕舞っておく。
 代わりにもうほぼ毎日バイト、バイトだ。今週は週6で働いている。
 遊んだ分を修正するかの様に働いているという訳だ。今月はいくら入るんだっけか。
 給料日まであと3日。財布の中身は639円。ぎりぎりだ。
 こんな時間に空いている店といったらコンビニくらいだ。自炊するならば足りるであろう金額だが、コンビニで物なんか買った日には明日の俺がないてしまう。
 時間も時間だ。別に食わなくても何とかなる。

 引きっぱなしの布団にダイブする。微妙なこの冷たさが恐ろしい。いつかカビが生えるのでは無いかと危惧してしまう。
洗濯もそろそろしなければならないし、色々生活面本当に問題があるな。
 この前ぶっ倒れてから一切ゲームを起動させていなかったのだが、明日はバイトもないし、久しぶりにやるかと電源をいれる。
 どこまでやったのか、また次にどこへいけばいいか案外覚えているものでサクサクと進めていく。
 
「武器鍛えるのと攻撃すげえ喰らうからそれの為に金かせがねえと」

 結局現実世界もゲームの世界でも金を稼いでいて悲しくなった。
 ドルフ族め……。というか、どうせ仲間になるんだから鍛えるのただにしてくれっての。武器を鍛えるのは、あいつの趣味みたいなもんじゃねえか。
 ああ、にしても、ビッキーがいて助かる。ほいほい飛ばしてくれるからな。移動が楽だ。
 セーブルのところで微妙に金を稼いで〜。レベルもあげておかねえと。
 ファルーシュがんばれ。今のパーティーで武器レベルMAXなのはお前だけなんだ。
 ダインつええから暫くそのままでいいや。とか思って防具買っちまったんだよな。
 ロイさっさと仲間にならないかなぁ。
 
 単純作業ばかりで少し眠くなってきた。
 そういえば、俺飯食べたっけ?あー駄目だ。眠い。
大きく欠伸をかき、目をこすると、王子がいた。
 
「あ、あなたは……!」

 リオンが驚いていた様で、近くにいたファルーシュや、カイルがリオンが声を荒がえた事にびっくりしている。
 前回も幻水の夢をみていたし、別に夢で見たからどうなんだと感じた俺だったが、目の前にある素敵な光景にテンションがあがってきた。
 夢でもいい。ごちそうだ。
 ファルーシュ達が囲むようにして座っているテーブルには普段の俺では想像もつかないまでの料理が並べられていた。

「も、もうだめだ。はら、へった」

 俺のお口の中は洪水状態。ふんわりと優しく香るこの料理達が目の前にあって誰が俺の欲求を抑える事ができるというのだろうか。
 どうせ夢なんだから満足いくまで食わせてくれ。
 近くにある皿をとり、ほぼ手づかみに近い状態で食べる。
 そんな俺の行動に皆、声すら上げない。

「あああああ、う、うめええ。うまい、うまい」

 久しぶりに食べた料理は生まれて初めて味わうもので、むせび泣きそうになる。
 本当に食って大事。

 ちゃきりと、腰に何かがあたっている気がするが放っておく。俺には今目の前にある料理を平らげる事の方が大事なんだ。

「その料理をおろしなさい。いつぞやの変質者め、王子に用意された食事になにをするのですか」
 
 リオンが怒っているらしい。まあ、そりゃ、これだけの食事会? を邪魔されてたらなぁ。
 王子って身分もあるし、あ、今きがついた。これ貴族のえーと。なんとかさんの家か。
 そりゃ、貴族からの食事会に招かれてるってことになるし、やばい?
 え、あれ。したら腰にあたってるのって、何?リオンの剣かよ。
 まーどうせ夢だ。食い物平らげる位させてくれ。
 
「ふふ、あはは!馬鹿野郎。目の前に食い物がある。それがオレを動かす理由なのだ」
 
 リオンスルーで飯を食う。
 あ、ああ。うめえ。天国にいける気がする。なんだこれ、ほんと、うめえ。

 ざく、



「ぎゃあ!」

 あれ? なんか刺したよ。この子。
 べ、別の方向でも天国にいける気がする。

 痛みからか目の前が真っ白になった。
 
 気がつくと、俺は布団の上で横になっていた。
 ゲームは起動しっぱなし。また、変な夢をみた。疲れている時にゲームはやめよう。
 明日は布団を干そうと思った。



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