06 - 無防備にさらしたのど元に触れる手のひらの熱情



 授業は衝立をし、行われていく。
 やはり交接術を皆の見てるまえでやらせる程、私は非情ではない。
 もちろん他人の技術を見、得るものもあるだろうが、まだこの子らには早かろうと思っているからだ。応用を知らぬ馬鹿ものもいる。
 本日は合同授業をしている。生首相手に色の練習とは、波多からみたら滑稽だろう。

「イケイケどんどーん!」

 練習用の生首を投げて遊ぶ馬鹿がいた。

「これ、やめなさい」

 投げた首が長次の元へいく。すると、長次が軽く受け、別の者の元へいく首。伊作が首が来たことで慌ててトスをすると、丁度事の始まりである小平太の元へ返った。
 上手いな……と思ったのもつかの間、何を思ったか小平太の馬鹿ものは受け取るわけでもなく力一杯地面へとたたきつけるように首を叩いた。
 運悪く前の席に座っていたのは文次郎だ。
 反応が早かった為に頭を傾け直撃を免れるが、首元をかする。
 更に運が悪かったのは伊作である。文次郎のよけた首が、別の生徒の机へとぶつかり、墨の付いた筆を伊作は顔で受け止めた。

「てめえ、小平太!」
「静かに」

 今にも殴りかかりそうな文次郎の肩に手をあて、座るよう促す。
 伊作には顔を洗ってくるようにと同時に指示をした。
 大人しく席へ座る文次郎に、首筋に傷は無いかと、見てみると、僅かに赤く一本のみみず腫れが出来ていた。
 指先で首元を軽く触れる。
 こやつの首は鍛えられた男のものであり、近くに寄ると汗の香りがする。若い雄の匂いだ。
 才能ある若者は自分にないものを全て持っている。憎いと感じる。
 
 
 

(生徒に手を出してしまいたいとは落ちたものだ)

 今すぐ締め上げて、才あるものを終わらせてしまいたい。



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