ちょっと待て
※情事後















「貴方たち、毎日毎日飽きないわね。」


情事後、水でも飲もうと寝室から出れば帰った筈の助手の姿があった。


「聞いてたの?感心しないなぁ…人のプライベートに聞き耳たてるなんて。」

「聞いたんじゃないわ、聞こえたのよ。」

いい迷惑だわ。
普段の無表情から眉を寄せ眉間に皺を作り、綺麗な形をした口を歪ませ吐き捨てるように言った。


「確か、静ちゃんが来る前に帰って良いよって言ったよね?なら、こんな時間になってももたもたしてる君が悪いんじゃない?俺は充分気遣ったつもりだけど」

「貴方の妹達に貴方と平和島静雄がシてる写真が欲しいって言われたのよ…報酬として。私だって好きで男同士の汚いものを見たわけじゃないわ。」

成るほど、確かに波江の手には携帯が握られている。

「ていうかさぁ、妹達と関わるのやめろって言わなかったっけ?あと、できれば写真…今すぐ消去してくれない?」

「それが貴方達がシた後、朝に汚いシーツ洗濯して取り替えてあげてる人間に向かって言う言葉かしら?毎回、後片付けは私がしてあげてるんだから写真の一枚や二枚で文句言わないでくれる?」


確かに波江の言ってることは正しい。
そして、シーツ洗濯してる時のうんざりした波江の顔を見るのが俺の楽しみだったりする。全く、俺は良い助手を持ったな…さっきから汚い汚い言い過ぎな部分を抜いて。


「別に波江に写真撮られるのは気にしないけど、アイツらに送るのは勘弁して欲しいかなぁ。俺の妹達の事だから、俺の取引先に写真見せたり、ネットに流したり本気でしかねないからね。」



なんで言い切れるかって?
俺ならやる…。俺の背中を見て育った妹達が俺が絶対やる事をやらないとでも?


「貴方の妹達って本当に可哀相ね。貴方が兄だなんて…」

「ん?この場合、可哀相なのは俺じゃないかな。自分の兄貴のハメ画が欲しいなんて言う妹、俺の妹ぐらいだよ。」

「あの子達が歪んだのはほとんど貴方のせいよ。」


うん、まあ自覚はしてるよ…
でも俺には知り合いの、しかも男同士の情事を見るなんて趣味は断じて無い。絶対無い。むしろ見たくないし、正直言って吐き気がする。


「まあ、この話しはもう終わり。そろそろ静ちゃんも起きてくるだろうし、帰ったほうが身の為だよ。ヤってる時に君がいたなんて静ちゃんが知ったら顔真っ赤にして赤鬼の如く暴れだすだろうし……やばい、ちょっと可愛いかも…」

「後半何を言ってるのか私にはさっぱり理解できないわ。したくもないけど。」


そう言えば踵を返し、玄関に向かって歩きだした。
そして最後に、綺麗な黒髪を垂らした背中に一言、




「あ、その写真妹達に送ったら明日から減給するからね。」









******


臨也と波江さんの絡みが書きたかっただけ。
この後、写真は妹達に送られることは無かったけど、そのうち腹いせに臨也の携帯から静雄の携帯に送信してやろうと目論む黒幕波江さん^^^^




7/23−蒼空


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