※普波です。
「……げっ」
「げってなんだ、げって…」
屋上で授業をサボっていると、珍しい奴が姿を見せた。
「相変わらずだな…なんだその格好…」
「相変わらず不憫顔の奴に服のこと言われたくないしー」
「不憫顔ってなんだ!確かに俺は不憫要員かもしんねーけど、顔はイケメンだって親父が言ってたもんね!!」
そう、名古屋の女子高生を思わせる口調、女の制服を纏ったコイツは……小学校からの仲のフェリクス・ウカシェヴィチだ。
仲と言っても、あまり同じクラスになることもないし、俺はフランやアントン、仕方なく坊ちゃんやエリザとつるむことが多いからそんなに話した事はない。
でも、小学生の時は結構一緒に遊んだ記憶がある。
「まあ、正直お前の顔なんてどうでもいいんよー。それよりこの服マジやばくない?俺似合い過ぎだしー」
さりげなく酷い言葉が聞こえたが、敢えて聞かなかったことにする…
「女物の服なんか似合って嬉しいのか?つーか普通に俺のコーラ飲むな。」
「似合えばいいんよー。コーラくらいでケチケチすんなしー。」
いつの間にか俺の目の前に座り、人のコーラ飲んでる。コイツの相手は本当疲れるぜ…
いつも一緒のトーリスがよく胃薬飲んでる理由がわかった…俺様栄誉賞でルッツの胃薬を贈る。
それにしても…夏用で元々短いスカートを腰のところでさらに折り、短くしたソレから惜し気も無く太股を曝しているコイツの気が知れない…
体育座りすんな!!このアングルは非常にやばい!!
一度気づくと意識してしまうもので…俺の目は嫌でも太股に向いてしまう…
それに気付いたのかフェリクスは首を傾げて俺に視線を向けてきた。
「ギルの今の顔マジうけるんだけど…どうしたん?」
「べっべべべべ別に!?なっなんでもねーよ!!」
コイツ……近くで見ると結構かわ……何言ってんだ俺はぁぁぁああ!!!!
どうしたんだ?本当にどうしたんだ?!
コイツは確かに女の格好してるが正真正銘の男だぞ?
しかも性格は自分中心で我が儘で、人の話し聞かねーし…そんな奴を前に、なんで俺の心臓はバクバクいってんだ?故障か?!
まさか……マジで俺…コイツに惚れたとか…?
「マジありえん…」
「ふへっ?!」
「もうコーラ無い…」
ビビったぁ…声に出てたかと思った…なんてタイミングだ…ビビり過ぎて変な声出た…
「……!つーかてめっ…人のコーラ全部飲んだのかよ!!」
俺は一口しか飲んでいない。
「あーあー、うっさいしー。今度ジュース奢ってやるからそれでチャラにしろし。」
ん?こいつにしては素直じゃないか?
いつもなら絶対に奢るなんて言わないだろう…
「……お前が奢るなんて珍しいな…」
「その代わり、お前の首都バルシャワな!!」
「うん、どうせそんなこったろうと思ってたよ!!」
やっぱりフェリクスはフェリクスだった!
コノヤローとフェリクスの腕掴めば「何すんだし!」と叫びながら俺の腹部に蹴りを入れてくる。
いてぇ………
その時、屋上にバーンという音が響いた。
どうやらドアを乱暴に開けた音だと気づき、ドアの方を見れば
「ト、トーリス…」
「……ギルベルトさん…フェリクスに何してるんですか?」
暫く俺とフェリクスを見つめた後、現状を把握したのか、ニッコリという音がつくようにゆっくりと唇に弧を描いた……目が笑っていないその笑顔を見た瞬間、俺の額と背中には今までに流したことのない冷たい汗が流れていた。
「あ、トーリス!」
今まで黙っていたフェリクスが、俺が力無く掴んだままの腕を、ドアの前でまがまがしいオーラを出しながら微笑みを浮かべる相方にぶんぶんと振った。
これで腕を掴んだままだった事を思い出し、すぐに手を離せば、フェリクスは立ち上がりパンパンとスカートを払ってトーリスの方に駆けて行った。
「すっごい探したんだよ?なんで授業サボったの?」
「んー?めんどかったし、お腹痛かったんよー」
お前、さっき人のコーラがぶ飲みしてたじゃねーか。
ケラケラと笑うソイツをじーっと睨んでいると、気付いたのはトーリスで、先程と変わらない笑顔で俺を見れば言葉を紡いだ。
「あ、さっきエリザベータさんが呼んでましたよ?ギルベルト・バイルシュミットさん」
あ、俺今日死ぬかも…
恋に落ちて、堕とされた
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Thanks 7000hit!!
星碧が踏んでくれました。嬉しかったよ…うん←
最近フェリクスにお熱です(笑)
トーフェリが大好きです。早く結婚すればいいじょのいこ(えなり
ギルが報われない件について…
それでこそギル。
7/13−蒼空