「スーさーん?」
「ん」
「あのー…?」
「ん」
「ちょっと…?」
「ん」
駄目だ。朝からこの調子で、スーさんの口は「ん」以外の音を発しない。表情も、眉一つ動かさず、何かを考え込んでいるのは明白だ。
微笑んだりしたらそれはそれで怖いが、せめて何か話して欲しいものだ。
彼がこうなるのはまあよくあることなのだが、こう1、2時間も続くと心配になってくる。というか心臓がもたない。色んな意味で。
(こんな時、デンさんは…)
昔、デンさんの家にいた頃。こんな感じになったスーさんをデンさんは一言で元に戻した筈だ。肝心の内容は思い出せないが。
(何だったかな…)
何らかの愛称だったことは覚えている。だが生憎、人名はミドルネームの発音の奇特さや普段は呼ばないせいで思い出せなかった。こうなれば作ってしまうしかない。
ス…ウェー…デン……
「…スヴィー…?」
「……!!」
「おひゃああああ!!!」
呟くと同時、彼は凄い勢いで此方を向いた。驚いたのだろうが、此方の驚きも並ではなく、奇声をあげてしまう。
「今、何つった…?」
「うわぁすみませんスヴィーとか駄目でしたか」
やっぱり彼の外見から突風田舎者がよかっただろうか。そう思いながら彼をみれば、心なしか嬉しそうだ。気に入らなかった訳ではないらしい。
「おめが考えたんだらええ。…もっと」
「え…あ、その……す、スヴィー…」
改めて口に出すと、どこか照れ臭い。尻すぼみになりつつ呼べば、彼は近づいて来て、僕を腕の中に収める。
「え、あの……?」
「…めんげなぃ」
可愛いと言われても喜ぶべきか躊躇うが、彼に抱き締められるのは結構…というよりとても好きだ。
「スーさ…、スヴィー」
「ん」
「…大好きです」
「……ん、俺も」
綺麗な綺麗なお花畑で
(鈴蘭が2輪、幸せそうに甘いキスを)
強奪してきたぜb←
スヴィー可愛いv
01/22−蒼空