扉の中の蛙
「ねーセンパイ?」

「………」




















暗殺者のものとは思えないくらい綺麗で片付いた豪華な部屋。
天井にはシャンデリアがあったりして。

その部屋、基ベルセンパイの部屋に置かれた革張りのソファーにミーとセンパイ。

ミーはいつもどうり、遠慮なくゴロゴロと寛いでいた。

いつもなら此処でソファーから蹴り落とされてるだろう。
しかし、今日はやけに静かだ。

(気味悪いですねー。)

そう思ってセンパイを見た。

センパイは、ぼーっと空中を眺めている(目が見えないので、何を見ているのか定かではないのだが)。

「センパイ…?」

いつものセンパイらしくない。無表情というか、どこか悲しげな……

「―――!!」

気付いてしまった。今センパイが考えているのは、きっと…………




―――――――………

「センパイ……センパーイ」

「うっせー。なんだよ」

何度か呼んでやったらやっと帰ってきました。お帰りなさーい。

「何ぼーっとしてるんですかー?
気持ち悪いですよー。」
「黙れよカエル…」

ボカッ
「いだっ…!!」

頭のカエル叩かれた…

そもそも、気に食わないのはこのカエル…
重いし、デカいし、邪魔だし…
匣を開けるポーズも、コレのせいでできないから満足に闘う事もできない。

しかし、一番気に食わないのは…

前任の代わりという理由でベルセンパイにかぶせられた事だった。



「ベルセンパイ…また前任の事考えてたんですねー。」

「……は?」

「ベルセンパイは分かりやすいんですー。」

「何言ってんの?お前…。何でいきなりマーモン出てくんだよ。俺は昨日、鮫先輩がまたボスにワイングラス投げ付けられてたの思い出してたんだよ。しししっ」

「おまけに嘘が下手くそでー」

「オイ…人の話聞けよ!」
「カエル!!」と怒鳴られてうつむいて、できるだけセンパイを見ないようにしていた顔を無理矢理上げられた。

「……で、……なんで……」

「お、おい カエル?」

「ミーはカエルじゃありませんー!
このカエル被せたのはセンパイです!
前任の代わりって…、ミーと居る時はいつも……マーモン、マーモンって……っ、ミーは前任何て知りませんっ…こんな、こんなカエル被ったって……

ミーは前任のマーモンにはなれないんです!!」

何時までも、ベルセンパイの中にいる

ベルセンパイの望む


マーモンにはなれない……


ベルセンパイを睨んで カエルを脱いで、センパイの頭にガポッとカエルを被せた。

そしてドアまで走り、勢い良く飛び出した。
部屋を出る時、「カエル!」と自分を呼ぶ声がした。


今、きっと自分は酷い顔をしてるだろう。
涙でぐちゃぐちゃだ。こんな顔、誰にも見られたくなくて、自分の部屋に入り鍵を閉めて、扉に寄り掛かるようにズルズルと座り込んだ。


「うぅ……っう……うぅ…っ」

言ってしまった。ずっと、隠してた気持ち。
久し振りにあんなに叫んだ。センパイも驚いていた。

叫んでいて、悲しくて、辛くなって、自分の意思とは関係なく勝手に涙は流れていた。

センパイが前任の代わりとして自分を見ていたことは、カエルの帽子を被せられた時から知ってた。
最初は、何て嫌なセンパイだろうと思っていたけど、一緒の任務をこなしていく内に、だんだんとセンパイへ対する想いが変わっていた事に、自分も気付いていた。

好きになっていた。

だから、だからこそ、マーモンでわなく、フランとして見てほしかった。

(ヴァリアー内一の天才だとか呼ばれてるくせに、ミーの気持ちには気付けないのか堕王子は………)





その時だった。
ドンドンと扉を叩く音。
振動が扉に預けている背中に伝わってくる。

「おいっ…いるんだろ!?開けろよバカ!!」

「―――っ」

なんで…

なんで来るんだよ!!馬鹿王子!!

思わず息を殺し、身を縮める。
出ていかないのはこの自分の顔を見せたくないのと、さっき叫んだ事が今更になって、とてつもなく恥ずかしくなったから。

「おいっ!!いい加減にしろよ!!」

その言葉そっくりそのまま、そっちに返してやりますー…。

暫くの沈黙、諦めたのだろうかと、扉の向こうを背中越しに伺った。

その時微かに溜め息が一つ聞こえた。


そして次の言葉を待った。
きっと次は自分を呼ぶだろう。「カエル」と。
そして扉を蹴破ってくる。そしたら、何ともないような顔で、またいつも通り毒舌を吐こう。

そう思っていた刹那――――


「フラン…」



(………え?)


自分の耳を疑った。

だって、初めて名前を呼ばれたのだから…。

(………っずるい///)

どうしてこのタイミングで……。

クソバカ堕王子……。


本当は今すぐ扉を開けて飛び付きたかった。

でも、もう少ししたら、痺れを切らし、王子様は扉を蹴破ってくるだろう。次こそ本当に…。


だから…
蹴破ってきたら飛び付いてやろう。
そしてあの胸で、泣いて、泣いて、泣いてやろう。

今日はとことん甘えて、
明日になったら、
自分が王子様に被せたカエルがとてもよく似合っていたと、
またいつも通り毒舌を吐こう。次こそ本当に……。


蹴破られるまで後何秒?







End



うわぁー。フランとベルが分かんなくなっちゃった。


何かベル、マーモンの死を引きずってるし、

何か痛い(死)


マモベル←フラン
みたいな?でも、実は、ベル→フラン
みたいな。

今度、ベル視点書きたいな。

つーか、〜視点っていうのが難しいんだ。
何か、……ね?(え

最後、ベルの事王子様って呼んでましたが、王子様がドア蹴破るかよ…っていう感じの笑いが自分の中にあって、皆様も分かるかなみたいな?
めっちゃシリアス目指したのに、シリアスを書いてる自分に何だか笑えてきて、今読み返すと、所々笑えてきて、もうどうしてくれるんだ!!!(何?
この指が!!この指が勝手に!!!(泣)

もっとシリアスな設定だったのに、所々に遊び心が……

この指が!!!この指がk(ry

……そんなことでした。

すみません。英検終って受かれてたんです。

すみません。
蒼空でした。馬鹿でした。


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