北へ!

「バギー!!おやつ持って来たよー!」

○○は大きなリンゴを3つ持って甲板へと出て来た。

「おー!派手に腹へった!」

バギーは○○からリンゴをひとつ受け取ると豪快にかじりついた。

「んーーー!!すっぺェェェ!!!派手に酸っぱいな!!!」

バギーは口を酸っぱそうに突き出しながらもガリガリと食べていく。

「えー?これは甘いのに?」

「お前の味覚がおかしいのか、りんごが違い過ぎるのか……」

○○は不思議そうにリンゴをかじるのをバギーはじと目で見た。

「そう言えばシャンクスは?」

○○は残りのりんごをポンポンと手の上で投げながら辺りを見回した。

「サボりだ!サボり!!派手にふざけた野郎だぜまったく!!!」

バギーは不機嫌そうにりんごを食べ終わると芯を海へと投げた。

「おーい!○○!バギー!!知ってるかァァ?!!!」

シャンクスが嬉しそうに手を振りながら走り寄って来た。

「テメェ!!!シャンクス!!!サボりやがって!この野郎!!!」

「なァなァなァなァ!!!知ってるか?!」

ぶんぶんと腕を振るうバギーを軽くかわしながらシャンクスは嬉しそうに声を出した。

「シャンクスりんご食べる?」

○○は興奮気味の二人を無視する様にシャンクスにりんご差し出す。

「りんご?りんごも良いがな!知ってるか?!南極ではどこを向いても北なんだぞ!!!」

シャンクスはドヤ顔で鼻息荒く声を出した。

「………」

「………」

バギーと○○はしらーっと冷たい顔をシャンクスに向けた。

「何言ってるんだ?お前」

バギーはシャンクスを冷たい目で見る。

「そうだよ。どこを向いても北なんて……。じゃあ、東と西はどこ行っちゃったの?」

○○も呆れたようにシャンクスを見る。

「あ?だってほら!……その……?」

シャンクスの自信は少しずつ剥がれて行き、頭の上に「???」と不思議そうにした。

「ほらほら、馬鹿な事言ってないでシャンクスもりんご食べなよ!」

○○はポンポンとシャンクスの肩を叩いてりんごを差し出した。

「えー!だってさ!レイリーさんが言ってたんだよ!!」

シャンクスはりんごを受け取りながら納得出来なさそうに言う。

「「レイリーさんが?!」」

今までシャンクスを馬鹿にしていたバギーと○○がレイリーの名を聞いて驚く。

「あァ、レイリーさんが『南極ではどこを向いても北』って言ってたんだ!」

シャンクスは不貞腐れた様に声を出す。

「えー?でも本当に?信じられない」

○○はシャンクスを見ながらまだ信じられずにいた。

「あー、ほら!このりんご!ここが南極な?じゃあ、北は?」

シャンクスがへたの所を南極だと指差す。

「「下」」

「………だな」

バギーと○○のハモりにシャンクスは項垂れた。






「南極、正しくは南極点だが、これはこれ以上ない南なんだ。だからどこを向いても北になる」

レイリーは球体の地図を指差して3人に説明をする。

「おォー!!」

バギーは目を輝かせ、シャンクスはうんうんと頷き、○○はハッとしたような顔をした。

「知ってるか?南極点から北に10キロ、東へ10キロ、南へ10キロ行くと元の位置に戻ってるんだぞ!!!」

ロジャーがニヤリと得意気に笑った。

「「「それはない」」」

シャンクス、バギー、○○の3人が冷たい目でロジャーを見る。

「お!言ったな!ガキ供!!!なら、行って確かめるか?!当たってたら○○は裸踊りしてもらうからな!」

「うるさい!!!変態船長!!!」

「ぐはっ!!!」

冗談に聞こえるが、今までの経験上○○は渾身の力でロジャーを蹴り飛ばした。








北へ!








「南極か!寒いからちゃんと準備しないとな!」

「まァ、北極より寒かねェよ」

「あ?南極のが寒いだろ!」

「派手に馬鹿か!北極の方が寒いに決まってんだろ!!!」

「もー、2人とも馬鹿だなぁ」



レイリーの拳が飛ぶまで後数分。

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