2014/03/09
「ふふ、今日もいるかなぁ?」
○○は楽しそうに笑うと仕事帰りにいつもの店に寄った。
ここ1ヶ月程同じバーに寄っている。初めは男に振られて自棄を起こしてバー等と言うおしゃれな場所に足を踏み入れた。
そこで出会った男に○○は心を奪われ、そのままそこに通っていた。
「いらっしゃいませ」
ウェイターに導かれ、いつもの席に座る。
「おう!来たな!」
にかりと笑顔で迎えてくれたのは○○が気になっている赤髪の男、シャンクスだった。
「こんばんは!いなかったらどうしようかと思いました」
○○は嬉しそうに笑うとシャンクスの隣に腰かけた。
「おー!可愛い事言ってくれるな!」
シャンクスは機嫌良さそうに笑った。
「ふふ、あ、私はカシスオレンジを」
「俺もおかわり」
○○とシャンクスが注文をするとウェイターは頭を軽く下げ、その場を後にした。
「仕事帰りか?」
シャンクスは自分のグラスを上げながら聞く。
「はい。シャンクスさんに早く会いたくて頑張って片付けて来ました!」
○○はにこりと笑顔で口を開いた。
「ククク、そんな事言われたら勘違いしちゃうじゃねェか」
シャンクスは楽しそうに笑うと酒をあおった。
「冗談じゃな」
「お待たせいたしました」
○○が勢いに任せてそう口を開くと、ウェイターに邪魔されてしまった。
「……」
(タイミング悪いな……慌てない、慌てない)と○○は深呼吸をすると自らを落ち着かせた。
「ほら、乾杯するぞ」
シャンクスが運ばれてきたグラスに手を伸ばした。
「はい。そうしましょう!何に乾杯します?」
○○もカシスオレンジに手を伸ばし、グラスを掲げた。
「そうだな……。お!じゃあ!俺の誕生日おめでとう!!」
「…………」
シャンクスが楽しそうに乾杯しようとグラスを掲げるが、○○はポカーンと口を開けて固まった。
「何だよ、冷たい奴だな。祝ってくれよ!」
シャンクスは少し不貞腐れた様に掲げていた酒を飲んだ。
「はっ!!いえ!私、知らなくて!!何も用意もなくて!!」
○○は顔を青くして慌てていた。
「良いよ、俺も言わなかったし、祝う年でも無いしな」
シャンクスはだっはっはっ!と高らかに笑った。
「でも、私はシャンクスさんを御祝いしたかったです」
○○は少し落ち込むように呟いた。
「……俺も」
「……?」
急に真剣な表情になったシャンクスを不思議そうに見上げる。
「俺も○○に祝って欲しくてさ。仲間内の飲み会フケてきた」
シャンクスは真剣な表情からいたずらっ子の様な表情でニヤリと笑った。
「っ!!!」
○○はシャンクスの言葉に顔を赤くする。
「祝ってくれる、よな?」
急に甘い声を出してきたシャンクスに○○はこくりと頷いた。
2014/03/09「よし!じゃあ乾杯!!」
「乾杯!シャンクスさん」
「ん?」
「おめでとうございます!!私、シャンクスさんに会えて幸せです!!」
「…………」
「あ!せめて今日は私が奢りますから好きなものを」
「……好きなもの……ねェ」
「はい!メニューです!」
「なら、○○が欲しい」
「え?」
「○○が欲しい」
「……」
「ダメか?」
「………………じゃ、い」
「ん?」
「だ、ダメじゃ、ないです」
「だっはっはっ!顔真っ赤だな!」
「へ、返品はききませんよ!」
「あァ、肝に命じておく」
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[mokuji]
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