交通ルールを守りましょう
○○は見慣れた後ろ姿を見付けて車を路肩に停車させた。
「社長!一人で何やってるのー?」
○○は助手席の窓を開けるとシャンクスへと声を掛けた。
「おー!○○か!」
シャンクスは嬉しそうに笑うと車に寄ってきた。
「どうしたの?いつもの運転手付の高級車は?」
○○は不思議そうにシャンクスを見上げる。
「今日は休みだ!せっかくだから散歩がてら歩いてた」
シャンクスはにかりと笑った。
「変な会社。良かったら乗ってく?」
○○はそう聞きながら解錠した。
「悪いな!」
悪びれもせずシャンクスは嬉しそうに助手席のドアを開けるとシートに腰を下ろした。
「いつもの車と違って狭いけど我慢してね」
○○はクスクスと笑うとシャンクスがシートベルトをするのを確認して発進させた。
「安全運転だなー」
シャンクスは勝手にCDなどを物色しながら声を出した。
「まぁね。スピード違反で捕まるのも嫌じゃない?それにやっぱり危険だから交通ルールは守らなきゃ!」
○○はチラチラとルームミラーを見ながらシャンクスの相手をした。
「どうした?」
シャンクスは不思議そうに○○を見る。
「ん?さっきっから煽られてるのよね……」
○○は眉間にシワを寄せるように顔を歪めた。
「今なんキロ?」
シャンクスはチラリと後ろを見る。確かに車の後ろぴったりに車が後をつけていた。
ブレーキを踏んだらぶつけられそうな程近かった。
「40キロ道路で52、3キロ」
○○はチラリとスピードメーターを見る。
「確かにネズミ取りしてたら微妙な速度だな」
シャンクスはうーんと考えるように声を出す。
「ね。勝手に事故るのは良いけど巻き込まないで欲しい」
○○は不機嫌に口を尖らせる。
「しかし、あれよね。ここまで近いとストーカーみたいよね!」
「あ?」
○○の言葉にシャンクスはキョトンとする。
「そんなにルームミラー越しに私の顔が見たいのか?!って苛立つ」
○○はクスクスと笑う。
「しかもさ!営業車かな?社名バッチリじゃない」
○○は呆れた様に声を出す。
「…………●●社……」
シャンクスは後ろを向いて社名を確認した。
「怖いよね、煽られるのって。こっちがテンパって事故起こしたらどうするつもりかしら?」
○○はぷりぷりと怒っていた。
「……もしもし?●●さんか?赤髪のシャンクスだけど」
突然シャンクスが声を出したかと思うと、携帯でどこかに電話していた。
「今さ、お宅の営業車に煽られてるんだよ。法定速度以上出してるのに。こんな危ない運転させてんの?は?運転は運転手に任せてる?そこはちゃんと教育させろよ。それくらい稼いでるだろ?……以後気を付けますじゃ遅くないか?今直させろ。…………いや、もうさ、そんな危ない所と取引したくないんだよ、俺」
シャンクスは普通の声色だが、聞いてるこちらが怖くなった。
「あ?甘い事言うなよ。現に俺の大事な女がお前ん所の車に煽られて怖がってるんだよ。悪いが、取引中止だ」
シャンクスは電話の向こうで喚くのを無視して通話を切った。するとすぐに別の所へ電話をかける。
「お、ベックか?●●社との取引終わりにして良いぞ。……あァ、良い材料があってな。おう!宜しくな」
シャンクスは少しスッキリした顔で電話を切った。
「……しゃ、シャンクス?」
○○は不安そうにチラリとシャンクスを見る。
「これで少しは懲りるだろ」
シャンクスはにかりと笑った。
先程まで煽っていた車も何故か後ろに下がっていた。
「元々取引止めたかったんだよ。なーんか、キナ臭くてさ。昔からの知り合いだったが、これで清算が取れたよ」
シャンクスはにかりと笑った。
「そ、そう」
○○は悪いことをしたなぁ、と思いつつも少しスッキリしていた。
交通ルールを守りましょう「で!○○!あそこに寄っていかないか?」
「…………ホテルって書いてある」
「おう!お礼のひとつでも!」
「行かないわよ!まだ仕事中だもの!」
「えー」
「えー、じゃない!」
「じゃあ夜部屋に行って良いか?」
「……良いよ」
「よし!なら仕事を早く終わらせるぞ!」
「……はいはい」
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