たまには君に
ーーピンポーン
「はーい!」
来客を告げるインターフォンには、お馴染みのシャンクスの赤い髪が写し出されていた。
「いらっしゃい!シャンクス」
○○は嬉しそうにシャンクスを迎え入れる。
「おう!」
シャンクスは○○の頭を撫でて部屋に入る。
「どうしたの?こんな時間に来るなんて珍しいね」
○○はビールを出しながらシャンクスを見る。
既に夕飯を済ませたそんな時間。
「いやさ、これが手に入ってな」
「ビデオテープ?」
シャンクスが手にしたのは今ではその姿を消しつつあるビデオテープ。
「俺ン家もうデッキないからさ。ここならあるだろ?」
○○の家にはビデオテープとDVDが入るデッキがある。
「それで!」
○○は納得する。
「すげェ見たかったんだけど、DVD化してねェからよ。手に入れるのも結構大変でさ」
シャンクスはビデオテープを弄びながら言う。
「ふーん。じゃあ、見てみる?お菓子とか用意しよう」
○○はるんるんとキッチンへ向かう。
キッチンから帰ると既に準備は整っていた。
「……所でシャンクス?まさかエッチなビデオじゃ……」
○○は眉間にシワを寄せる。
「ンな訳あるか!それならお前の居ない所でじっくり見るよ」
シャンクスはわははと笑った。
「なら、良いけど」
「じゃあ、始まるぞー」
シャンクスは再生ボタンを押す。
始まって数分後
シャンクスと○○は離れて見ていたが、いつの間には○○がシャンクスにペッタリとくっ付いていた。
「…………シャンクス、これって……」
「おう!ホラー映画B級だけど、なかなか面白いんだよ」
シャンクスはにっこりと笑う。
「や!もう無理!!」
○○は画面から目をそらす。
しかし、耳からは否応なしに音が流れ込んでくる。
「大丈夫だって、寝てて良いからよ」
シャンクスが寝室を指差す。
「やだよ!あそこじゃこの音聞こえるもん!」
○○は泣きそうな顔をする。
「なら、大人しくここにいろ」
シャンクスは呆れながら言う。
「うう……」
半泣きで耳を懸命に塞ぎ、シャンクスの隣で小さくなる○○。その様子にシャンクスは喉を鳴らす。
(いかん、いかん。これじゃあせっかくの計画が)
シャンクスは○○から目を離し、画面に集中する。
「そんなに怖いなら、ほれ!」
シャンクスが手を広げると、○○は普段では絶対ないほどに素直にシャンクスの前へ回る。
シャンクスの膝の上に跨がる様に乗ると、両腕でしっかりシャンクスの首に抱き付く。
(うぉぉぉぉ!!!予想以上だ)
シャンクスは何とか理性を押し止め「○○は怖がりだなぁ」と余裕な発言をする。
「うー、うー!」
○○はシャンクスの首に頭を押し付けて唸る。
シャンクスは抱き締めたい気持ちを圧し殺してわざと触らない様にビールとおつまみに手を伸ばす。
『ダダダダダダダ!!!キャー!!!』
凄まじい足音と下手くそな女の叫び声。
「あー!もう嫌ぁぁぁ!!!」
○○はシャンクスにぎゅーっと抱き付く。
「終わったぞ?」
スタッフロールが流れる中、シャンクスはそう声を出す。
押し倒したい気持ちを圧し殺し、最後まで見終わる。
すでに時刻は夜中を指していた。
「こ、怖かった」
○○は恥ずかしそうにシャンクスから降りる。
「じゃあな」
シャンクスは当然の様にビデオテープを持つと立ち上がる。
「え?か、帰るの?」
○○は不安そうにシャンクスを追いかける。
「だって、もうこんな時間だろ?」
シャンクスは腕時計を○○に見せる。
「でも……」
ーーカタンッ
「キャァァァ!!!」
小さな物音に○○は叫びながらシャンクスにしがみつく。
「いいよ!今日は泊まって良いから!」
○○は必死にシャンクスを見上げる。
「俺、帰って仕事」
「お願い!泊まって!!」
シャンクスは○○の言葉にニヤリと笑う。
「リピートアフタミー。お願いします、シャンクス様」
「お、お願いします、シャンクス様!!」
「私が今日は上になります」
「私が今日は上になります……へ?」
シャンクスは獣の目で○○を見る。
「しゃーねーな!ほら!寝室行くぞ!」
シャンクスは上機嫌で○○を担ぎ上げる。
「へ?あ!!」
○○が気付いた時には後の祭り。
たまには君に「ほら、ちゃんと動けよ」
「そ、そんな事言われても……」
「あ、後ろに……」
「っ!!やぁ……んん」
「っと、その顔は反則だな」
「ふぇ、シャンクスは下でも意地悪だ」
「お褒めに与り光栄だな」
「うんん!……あぁ」
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