意地悪な先生

※優しいマルコをお求めの方は残念ですが、いません。















「ああ、情けない」

○○はぐったりとしていた。
理由は昨日の社内運動会。
日頃の運動不足が祟り、動けずにいた。

「久しぶりの休みだったのになー」

○○は仕方無くベッドの中でうだうだとしていた。

「ふふ、これはこれで良い休みかも」

○○はニヤニヤと枕を抱いた。


ーーピンポーン


こんな時に誰だろう?と思いながらも無視をする事に決めた○○は目を閉じた。


ーーピンポーン


再びチャイムが鳴り響く。


ーードンドンドン


今度は直接ドアをノックされる。その音は明らかに怒りが混ざっていた。

「……いや、まさか、そんなはずは……」

○○は青い顔をして冷や汗を垂らした。

「○○」

叫んだ訳でもないのに、ドアの向こうからはっきりと聞こえる声。

「いるのは分かってるよい。早くあけろい」

独特の語尾ですぐに誰だか分かった。

(こ、怖い。いや、このまま居留守で誤魔化そう)

○○は息を殺した。

「5つ数えてやる。それまでに開けろい。5」

静かな声が数を口にする。

「4、3…………」

「……いらっしゃい」

根負けした○○が冷や汗と共に重い扉を開けた。

「初めっから素直に開けてろよい」

不機嫌そうな眠そうな顔をしながら白衣の男が入って来た。

男は入ると同時に胸ポケットからタバコを取り出して口にくわえた。

「あ、あのね、マルコ。ここの部屋禁煙」

「そうかよい」

マルコと呼ばれた男は○○の言葉を気にせず、タバコに火を付けた。

「あー!もう、ほら!換気扇の下!」

○○は仕方無くマルコの背中を押す。

「っつー」

「どうした?」

突然痛みを訴える○○にさすがのマルコも少し狼狽える。

「え?ううん!大丈夫!ただの筋肉痛だから」

あまりにも驚いたマルコが珍しく、ポロリと本当の事を言ってしまう。

「筋肉痛?何したよい」

マルコの目が細められる。

「き、昨日、会社の運動会があって、大縄跳びしたのよ。他にも走ったり、跳んだり!もう、バテバテ」

アハハハと乾いた笑いをする○○。

「日頃から運動不足だからそうなる。自業自得だよい」

マルコは言いながら肺にためた煙を○○に吹き掛けた。

「けほ!副流煙の方が体に悪いんじゃなかった?」

けほけほと煙たがる○○。

「そうだねい」

マルコは携帯灰皿にタバコを押し付けた。

(マルコが私の言葉を聞いてくれた!)○○が喜んだのも束の間。

「筋肉痛には運動だ」

「は?」

ひょいとマルコは○○を肩に担ぎ上げた。

「ちょ、マルコ先生どこへ?」

○○は冷や汗をかく。

「家でできる運動なんざ決まってるだろうよい」

当たり前に言うとマルコはベッドに○○を下ろして、自分はそれに覆い被さった。

「とっとと脱げ」

「や!嫌だよ!」

○○は必死に抵抗する。










意地悪な先生










「うう、このヤブ医者」

「筋肉痛治ったろい?」

「痛いわよ!関係なかった腰まで!」

「そうかい?ならもう一回戦」

「っ!!帰れ!ヤブ医者!!」

「ほう、今日は強気じゃねェかよい」

「っ!!スミマセンでした!」

「謝らなくて良い。もう一度するよい」

「っ!!た、助けてー!!!」







***




Happy Birthday マルコ!!

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