雨降って

白髭海賊団はとある島で停泊中。

「あー、雨はしんどいなぁ」

「そりゃ、お前が火だからな」

エースの様子を見てサッチがケラケラと笑う。

この島はよく雨が降る島で、1年の350日が雨降りだ。

「あー!しんどい!」

エースは酒場で酒も飲まずにデロンと突っ伏していた。

「クスクス素敵なお兄さん、だるいの?」

グラマラスな美女がにこりと笑ってエースの隣に座る。

「だりィ」

エースはチラリと美女を見る。

「ふふ、じゃあ私と楽しい事でもする?」

美女がゆっくりとエースの腕に自分の腕を絡ませる。

「……良いよ」

エースはゆっくりと席を立つ。

「なんだよ!元気じゃねーか!」

サッチはケラケラ笑いながらエースと美女を見送った。





「んっ……部屋そこなのに」

美女はエースの首に腕を絡ませて口付けを受ける。

嫌がっている素振りはない。
エースは美女の唇を堪能する。




「…………ここ、廊下」




呆れ返った女の声。

「なんだ、○○かよ」

エースはため息をついて顔だけ振り返る。

○○は白髭海賊団のクルーだ。

「お前もここに泊まるのか?」

エースは美女への愛撫をそのままに○○に聞く。

「エース隊長を探しに」

○○はため息をつく。

「でも、必要ないね。じゃあ」

○○はエースに背を向ける。

「おう」

エースはそれだけ言うと美女へ向かう。







「はぁ…………」

○○はモビーの食堂で盛大にため息をついた。

「どうしたよい?辛気臭い顔して」

一番隊隊長であるマルコが隣に座る。
どうやら、船番をしていて暇になったらしい。

「マルコ隊長。私、もーむりー!!!」

○○は大袈裟に言う。

「またエースかい?」

マルコがやれやれと言う。

「はい。あー!!!失敗した!なんであんなのに恋してしまったんまろう!!!」

○○は叫ぶ。

「そりゃ、仕方ないねい」

マルコは相づちを打つ。

「ねぇ、隊長。とうやったら恋心って無くなる?」

○○は突っ伏したままマルコを見上げる。

「あ?時間が経つのを待つか、新しい恋でも始めろい」

「新しい恋かぁ」

○○はふとマルコを見上げる。そしてニヤリと笑う。

「ねぇ、マルコ隊長」

「お断りだよい」

○○が座るマルコの膝の上に跨がる様に乗る。
マルコはニヤリと笑う。

「えー!始めてみたらイイかも知れませんよ?」

○○がニヤリとマルコを見る。

「んなに若い妹には、手なんざ出せねェよい」

マルコは至近距離から○○を見る。

「それは、残念」

○○は笑いながらマルコに顔を近付ける。



「おい」

低い地を這う様な声は食堂の入り口から聞こえてきた。

「あら、エース隊長。お早いお帰りで」

○○はマルコに乗ったままエースを見る。

「何してんだよ」

エースはマルコを睨み付ける。

「俺は何もしてないよい」

マルコはニヤリと笑う。

「っ!来い!」

エースは無理矢理○○をマルコから下ろすと腕を引く。

「ちょ、エース隊長?!」

○○は何だ?何だ?と転けそうになりながらも必死にエースに付いて行く。


ーーバタン!


乱暴に開けられ、閉じられたドアはエースの部屋。

「ふわっぷ」

そのまま○○はベッドに投げ出される。

「お前が誰のモノかって、ちゃんと教え込んでやる」

既にエースの顔は獣その物である。

「……エース隊長、我が儘過ぎ」

○○はニヤリと笑う。

「エース隊長は女遊びして良いのに私はダメなの?」

○○はエースの首に腕を絡ませながら聞く。

「お前が素直に俺だけのモノになってれば他の女なんざ要らねェんだよ」

エースは不機嫌そうに○○の服を脱がす。

「…………私はエース隊長のモノだけなのに」




雨降って





「雨降っても、地固まらねェなァ」

「イゾウ」

「残念だったな、マルコ。お前の苦労はまだ続きそうだな」

「……早くくっ付けってんだよい」

「ふふ」

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