我が儘女と甘やかし男(中編)
「これはシャンクスさん素敵な女性を連れていますな」
シャンクスの隣には新しい高価なドレスに身を包み、美容室でセットして貰った髪と化粧も派手で美しい○○がいた。
胸にはシャンクスが○○に初めて買ったシンプルだが高価なダイヤが三個縦に並んでるネックレスが輝いていた。
ちやほやとされ○○は美しい笑顔でシャンクスの隣にいた。
「ネックレスはねだらないんだな」
シャンクスはシャンパンを片手に聞いた。
「ふふ、これシャンクスが初めてプレゼントしてくれたのよ?覚えてない?」
クスクスとシャンクスを見た。
「……お前、可愛い事するのな」
シャンクスは気分良くにこりと笑った。
「ふふ、そう?」
○○は妖艶に笑った。
「シャンクスさん」
「お!よう!」
一人の女が近付いて来た。
それは時々シャンクスの口から名前が出て来る女だった。
見た目は中の上。しかし、良く笑う顔で相手を和ませる。
中身は可愛らしく慎ましい。
男が最後の女にしたがるナンバー1のタイプだった。
シャンクスはその女と話始めるので、○○は面白くなさそうにシャンパンを飲んだ。
「シャンクス」
くいっとシャンクスの腕を引く。
「どうした?」
シャンクスは話を中断させて○○に向き直る。
「終わっちゃった」
○○は空のグラスを軽く振った。
「ペース速くないか?」
「だって美味しいんだもん」
○○がにこりと妖艶に笑った。
近くにいたウェイターは生憎ワインしか持っていなかった。
「しかたない。シャンパンで良いか?」
シャンクスはいつものように苦笑する。
「うん」
○○は美しく頷いた。
シャンクスは○○の空いたグラスを持ってその場を離れた。
「あの……」
シャンクスが離れてから女が声をかけてきた。
「なに?」
○○はウェイターからカナッペを受け取った。
「ご、ご自分で取りに行ってはいかがですか?」
それは顔を赤くして健気に言う女の姿があった。
普通の人間ならば守りたいとか、可愛らしいとか思う、そんな顔だった。
「パーティーでこんな格好してお酒なんて取りに行ったら逆に厚かましくてシャンクスに迷惑じゃない?」
○○はくすりと笑った。
「……そ、そうですけど。……シャンクスさんにご迷惑がかかると思います!」
顔を赤くしたまま女は頑張って声を出した。
「ふーん。あんた、シャンクスが好きなの?」
「っ?!そ、そんな」
○○の意地の悪い笑顔に女はますます顔を赤くした。
「じゃあ、取っちゃえば?どうせ男なんて最後にはあんたみたいな可愛い女の所に行くんだから……」
「え?」
「何でもないわよ」
○○の小さな声は彼女には届かなかった。
「ほら、持ってきたぞ」
シャンクスが新しいグラスを持って帰ってきた。
「ありがとうシャンクス!」
○○は言いながらシャンクスの頬にキスをした。
「何かあったか?」
シャンクスが○○と赤く俯く女を見比べた。
「大したこと事じゃないわ。ねぇ、あっちに行ってみない?」
○○はくすりと笑うとシャンクスを促した。
「……そうだな」
シャンクスは頷き○○の腰を抱いて女の前から立ち去った。
パーティーから数日、朝起きるとシャンクスが慌ただしく支度をしていた。
「お、○○。起きたか?」
「うん」
○○は眠たい目を擦りながらリビングへ出た。
「悪いな、急な仕事が入ってな」
シャンクスは忙しく手を動かす。
「そう、気を付けて」
「あ、それと悪ィが夜も遅くなる」
「…………この前の女?」
○○はピンっと来た。
「良く、分かったな!相談事があるんだと」
シャンクスは驚いて○○を見た。
「ふーん」
○○は興味なさそうに頷いた。
「なんだ?嫉妬か?」
シャンクスは嬉しそうに○○の頭を撫でた。
「ふふ、そうかもね」
○○はにこりと笑った。
「戸締まりしとけよ!じゃあな!」
シャンクスはそれだけ言うと玄関から出て行った。
「…………そろそろここも潮時……か」
そう呟くとシャンクスの明るい笑顔が思い出され、チクリと胸が痛んだ。
「っとに、これだから恋愛って面倒。金蔓とだけ思えれば良かったのに」
○○は面倒そうに胸を撫でた。
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