肉食系男子
「なぁ、○○!放課後空いてるか?」
そう言ってきたのは○○の幼馴染みのウソップ。
「ん?うん。今日は部活も無いし。暇だよ?」
○○は不思議そうに頷いた。
「なら、付き合ってくれ!頼む!」
パンッと頭の前で両手を合わせ拝むように頭を下げるウソップ。
「良いけど。ちゃんとカヤちゃんに了解取った?」
カヤとはウソップの彼女で、ウソップには勿体無さ過ぎる美人で性格も良い女の子だ。
「おう!カヤにも言ってある」
ウソップは頷いた。
「なら、良いよ。ウソップと一緒に帰るの久し振りだね」
○○はにこにこと笑う。
「あァ……そうだな……」
歯切れの悪いウソップ。
「じゃあ、放課後!」
「変なウソップ」と思いながらも○○はバイバイと手を振って自分の教室へと入って行った。
そして、放課後。
「………………誰?」
○○はウソップの隣の男子を見る。
「あァ……こいつは」
「俺はルフィ!!宜しくな!!!」
ウソップの言葉を遮り、ルフィはにかりと笑って手を差し出して来る。
「ん?うん。よ、宜しく?」
○○は不思議そうにしながらもルフィの手を取る。
「おう!!!」
ルフィは嬉しそうに笑うと握った手を激しく上下にぶんぶんと振り回す。
「…………ウソップの友達?」
○○はウソップを振り返る。
「あァ。部活仲間」
「仲間だ!」
にししとルフィはにかりと笑った。
「海洋研究部だっけ?」
「おう!」
「何してる部活?」
「将来海賊になる訓練!」
「は?」
一応高校の部活で将来犯罪者を育てて良いのだろうか?と疑問になる。
「まァ、真面目に航海術習ってる奴とか、船医目指してる奴とか、船上のコック目指してる奴とかいるけどな」
ウソップが説明する。
「そっか。で、将来海賊になるルフィ君が何故ここにいるの?」
○○は不思議そうに聞く。
「あァ……。何か、気になる奴がいるって言ってさ。よくよく話聞いたら○○だった」
「は?私?!」
「で、幼馴染みって言ったら紹介しろってさ」
「こいつに色恋沙汰な感情があるのに驚いてさ」とウソップは続けた。
○○は初めて男子からそう言われたので、ドギマギと心臓が煩く動いた。
「いやさ!前に町中でお前見付けてさ!旨そうなコロッケ食ってるなぁって!!!どこで売ってんだ?!」
ルフィは悪びれもせずに、にししと笑った。
「な、なんだ……。そう言う事……」
○○は思いきり脱力したようにガックリと頭を項垂れる。
「そっか!なんだ!そんな事か!!!」
ウソップがケラケラと笑う。
「おう!何たって俺は肉食系男子だからな!!!」
ルフィはにししと笑う。
「それ、使い方間違ってるから」
○○はやれやれとその肉屋を教える。
「ありがとう!!!それとな」
「何?」
ーーちゅっ
「…………」
「…………」
「にしし」
フリーズする○○とウソップ。にこにこと笑うルフィ。
「何してんだ?ルフィ……」
ウソップが意識を取り戻し、聞く。
「いやさ!○○の事考えると飯が6ぱいしか食えねェってエースに言ったら「じゃあ、ちゅうのひとつでもしてみろ!それで腹が減ったら恋だ」っつーからさ!」
ルフィは楽しそうに頭の後ろで腕を組み笑う。
「……一応聞くが、どうだった?」
ウソップがため息混じりで聞く。
「あァ!!!旨かった!!腹減った!!!」
ルフィはにししと笑った。
「……そうか。良かったな」
ウソップはじゃあなと一人去って行った。
「つーわけで、俺ら“こいびとどうし”だな!」
「……」
「宜しくな!○○!!!」
にししと笑うルフィ。
「わ、私のファーストキス!!!」
やっと意識を取り戻した○○が真っ赤な顔で叫ぶ。
「あァ!!ご馳走さまでした!!!」
ルフィはペコリと頭を下げる。
「俺な!肉食系だからな!!!」
ルフィはニヤリと笑った。
肉食系男子「コロッケ食いにいくぞ!」
「……こうなったら、食べる!」
「よし!じゃあ、もう一回!」
ーーちゅっ
「………………ふわぁ!!!」
「顔真っ赤で面白いな!!!」
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