爪を切る

「マルコ隊長最近よく爪切りに来ますよね」

ナースの一人がにこりと妖艶に笑った。








ここはかの四皇の一人、白髭事エドワード・ニューゲート率いる白髭海賊団の本拠地、モービディック号。


ナース達の集う医務室。

「最近マルコ隊長の様子おかしくない?」

ナースの一人がクッキーを片手に言う。
どうやら休憩時間の様で、ひとつの大きなテーブルを数人のナースが囲んでいた。

「様子がおかしい?」

「えぇ!何て言うか、いつも冷静で落ち着いているのに、何か」

「えー?私にはいつも通りの沈着冷静で冷血漢で……に見えるわよ?」

別のナースがお茶を飲む。

「うーん、この前ね、すっごく優しい顔して誰かと話してたの!相手は解らなかったけど」

「え?!それ本当に?!」

「男?女?」

「それがね……どうやら女みたいなの!」

「「「えー!!!?」」」

ナース達が色めき立つ。

「あの!マルコ隊長が?!」

「えー?女に興味なし!みたいなマルコ隊長が?!」

「滅多に娼館にも行かないマルコ隊長が?!」

「娼館に行っても夜中には帰って来ちゃうマルコ隊長が?!」

ナース達は次々に不思議そうに声を出す。

「そうなの!良い体してるのにいつも勿体無いって思ってたのよね!」

ナースがため息混じりに言う。

「で?あ、相手は?」

わくわくと別のナースが身を乗り出す。

「さっきも言ったけど、解らないのよね。ナースかクルーか」

「えー!つまんなーい!」

ナース達はブーとブーイングをする。

「そんな事言っても……」



ーーコンコン


「邪魔するよい」

「「「ま、マルコ隊長!!!」」」

軽いノックと共に現れたのはまさに今、話題の中心にいたマルコ本人。

「どうしました?」

「悪いが、爪切りを貸してくれい」

マルコは医務室の扉を閉めながら言う。

「あ、はい!」

ナースの一人が爪切りを持ってマルコに近付く。

「ありがとよい」

マルコは礼を言うとパチンパチンと爪を深く切り始める。

「……ねェマルコ隊長」

「ん?」

ナースの一人が声をかける。

「マルコ隊長最近よく爪切りに来ますよね」

一人のナースが妖艶に笑った。

「……まァねい」

マルコは無表情に反対側の爪も切る。

「そんなに激しいんですか?」

くすりとナースは笑う。

他のナース達は固唾を飲んでマルコを見つめる。

「…………入れると痛がるんだよい。爪が当たるってな」

マルコはニヤリと笑うと爪切りを置く。

「邪魔したねい」



ーーパタン




「「「キャー!!!!」」」

ナース達は一斉に黄色い悲鳴を上げる。

「ちょ、なに今の?!」

「マルコ隊長カッコイイ!!!」

「マルコ隊長良い男過ぎ!!!」

「あぁ!!抱かれたい!!!」

ナース達は次々と声をあげた。













爪を切る








「マルコ隊長!」

「○○」

「あ、爪切ったんですか?」

「お前が痛ェって言うからよい」

「っ!!すみません、御手数おかけします……」

「別に良いよい」

「……はい。マルコ隊長は優しくて好きです」

「お前だけにだがねい」

「っ!あ、ありがとうございます」

「よい」

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