想える事の喜びを
※注意
ヒロインは「海と空と海賊と」のヒロインです。
鷹の目に拐われる事なく、麦わらの一味に残ったバージョンです。
こちらのヒロインは鷹の目やシャンクスに庇われる事なく、「ほうきで空が飛べる理由」を知っていて、更に「戦う方法」を持っています。
とある人に教えてもらっております。
シャンクスと別れてから10年経ってる事も知っています。
グランドラインに入った目的ももちろんシャンクスに会うため。
一応、こちらの話も考えたのですが、長くなり過ぎるので面倒くさそ……。
そして、サンジ寄りですが、「シャンクス←ヒロイン」です。
ご理解のある方だけどうぞ!
「フランキー!」
○○はこにこにと嬉しそうに笑いながら近付いた。
「アゥ!!どうした?○○」
サニー号の舵を持っていたフランキーは振り返りながら聞いた。
「あのね、ちょっとお願いがあるんだけど良い?」
○○は出来るだけ可愛らしく聞く。
「良いぜ!」
フランキーは親指を立てた。
「あのさ、あっちにあるんだ!ウソップ!フランキーの代わりに舵良い?」
「よーし!任せとおけって!!」
○○の呼び掛けにウソップが笑顔で答えた。
「じゃあ!フランキー借りるねー!」
○○は嬉しそうに笑うとフランキーを連れて部屋へと入って行った。
「よし!なら、準備始めるぞ!!」
「「おー!!」」
ルフィの号令にウソップとチョッパーが拳を挙げる。
「気に食わねェ」
サンジが煙草を吹かしながらフランキー達が消えたドアを睨む。
「あァ?!」
ゾロがそれに反応する。
「何で俺の○○ちゅわんがフランキーの野郎の餌食にならなきゃなんねェんだよ!!!」
サンジの目は怒りに満ちていた。
「…………アホエロコック。○○はテメェのもんじゃねェだろ」
ゾロが呆れた様に言う。
「あァん?!うるせェよ!このマリモ!!!赤髪オヤジより俺のがカッコイイだろ!!」
サンジがゾロに叫ぶ。
「サンジ!シャンクスはカッコイイぞ!!!」
ルフィが遠くから参戦していた。
「っ!!うるせェお前ェはそこのハムでも食ってろ!」
「うおー!うまそー!サンジカッコイイぞー!!!」
ルフィはハムを目の前に目を輝かせた。
「ったく!」
サンジは新しい煙草に火をつけた。
「ほら!さっさと準備しないとあの2人帰ってくるわよ!」
ナミが怒るように叫ぶ。
「ごめんね、ナミさぁん!!男サンジ!頑張りまーす!!!」
サンジは目をハートにさせ、メロリンとキッチンへ向かった。
「…………アホコック……」
ゾロが呆れ返ってその場に寝転んだ。
「今日は貴方も手伝うのよ」
「…………」
しかし、ロビンの手によってゾロは再び起こされた。
「ヨホホホ!私、ムーディーな曲弾きますよ!」
ブルックは楽しそうに笑った。
「……どう?直りそう?」
○○は持ってきていた携帯電話をフランキーに見せていた。
「うーん。こいつは、俺の技術でどうこうできる品物じゃねェな」
フランキーは解体した携帯電話を見て唸っていた。
「……そっか。やっぱりダメか」
○○は残念そうに椅子に座った。
「これは○○の世界の機械か?」
フランキーは諦めずに携帯電話をいじる。
「うん。こっちで言うでんでんむしみたいな物でね。遠くの相手と話せるの。でも、水には弱くて……」
○○は残念そうにため息をついた。
「そうか」
フランキーはことんと携帯電話を机に乗せた。
「前から聞きたかったんだが」
「何?」
「お前さん、自分の世界を捨ててここに来て、後悔はしてないのか?」
「へ?」
フランキーにこの様な質問をされるとは思っていなく、驚いて顔を上げた。
「好きな男が出来てそいつを追って来たってのは、理解できる。だが、そいつとは結局離れた上に10年経ってるんだろ?」
「あ、うん」
「後悔はないのか?」
フランキーの顔が思いの外真剣で戸惑った。
「うーん。ない、って言えば嘘になるけど、それは自分の世界を捨てた事じゃなくて、あの時シャンクスの手を離した事かな?」
「…………」
「今みたいに能力があったらって思う時もあるの。でも、ここに来て、サンジくんやルフィくん、皆に会えて冒険して。懸賞金かけられて」
○○はクスクスと笑った。
「海賊になった事も不思議と後悔がないの。むしろ、あの時こちらに来なかった方が後悔したかも!シャンクスと同じ世界にいるだけで楽しいし!」
○○はにっこりと笑った。
「……羨ましいね」
「え?」
「そんなに想ってもらえるその男が羨ましいって言ったんだ」
フランキーがニヤリと笑った。
「そう?向こうにしたらもう覚えてないかもよ?」
○○は「困ったなー」と大袈裟に言う。
「覚えてるさ」
フランキーは遠くを見つめた。
「…………」
「もし、覚えてなかったら、このフランキー将軍がぼこってやるよ!」
フランキーは親指を立てた。
「ありがとう!フランキー!!」
○○はにこりと笑った。
「さて、そろそろ良いのか?」
「あ、やっぱりバレた?」
「アゥ!!まァな」
フランキーは小さく笑った。
「じゃあ、行こう!主役様?」
○○はフランキーの手を取った。
「じゃーん!せーの!!」
「「「「フランキー!お誕生日おめでとう!!!!」」」」
思った以上の派手なパーティー会場と化した甲板に出たフランキーは思わず動きを止めた。
「って、フランキー!なに、○○ちゃんと手ェ繋いでやがる!!!」
サンジが怒りに満ちた顔でフランキーを指差した。
「ふふ、良いでしょ?」
○○が笑いながらフランキーに寄り添った。
「あら、○○はオヤジ趣味なのね」
ロビンがにこりと笑った。
「ヨホホホ!羨ましいですね。私も手を繋いで欲しいですね!」
ブルックがギターを掲げながら笑った。
「なァなァ!もう食って良いか?」
じゅるりとルフィがヨダレを垂らした。
「まだよ!ウソップ!ローソクの準備!」
「イエス!マム!!」
ナミの号令でウソップがケーキにローソクを指す。
「うまそうだなぁー」
チョッパーがにこにこと甘いケーキを見つめる。
「ほら、吹き消せ」
ゾロがフランキーを促す。
「オメェらーー!!」
フランキーが感動で泣いていた。
想える事の喜びを「「「happy birthday フランキー!!!」」」
その日、麦わらの一味の宴は深夜まで続いたのだった。
[ 65/72 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]