想いは煙草の煙に乗せて
※注意
ヒロインは「海と空と海賊と」のヒロインです。
鷹の目に拐われる事なく、麦わらの一味に残ったバージョンです。
こちらのヒロインは鷹の目やシャンクスに庇われる事なく、「ほうきで空が飛べる理由」を知っていて、更に「戦う方法」を持っています。
とある人に教えてもらっております。
シャンクスと別れてから10年経ってる事も知っています。
グランドラインに入った目的ももちろんシャンクスに会うため。
一応、こちらの話も考えたのですが、長くなり過ぎるので面倒くさそ……。
そして、サンジ寄りですが、「シャンクス←ヒロイン」です。
ご理解のある方だけどうぞ!
「「「ごちそうさまでした!!!」」」
賑やかに過ぎ去った楽しい食事の終わりの時間。
「おう、野郎共は皿片してけよ」
サンジが煙草に火をつけながら言う。
「うおー!すげーあの魚!」
ルフィが船の縁にしがみつき、水しぶきをあげた大きな海を見た。
「待てルフィ!あれは魚じゃねェぞ!!鮫だ!」
ウソップがルフィを制止する。
「鮫?ヒレは炙って酒に入れる」
ゾロも刀を構える。
「アゥ!!生け簀にでも入れるか?」
フランキーもノリノリだ。
「ヨホホホー!餌はなんでしょうね?え?わたし?……わたし、身がないですけどねー!ヨホホホー!」
ブルックは楽しそうに笑うとバイオリンを弾きだした。
「なーなーウソップ!おれも釣りしたい!」
チョッパーがウソップにまとわりつく。
「よし!まってろ!チョッパー!」
ウソップが釣りざおを取りに走った。
「まったく、あいつら目を離すと危ないんだから」
ナミがやれやれと様子を見ようと立ち上がる。
「ふふ、でも、楽しそうね」
ロビンもクスクスと笑った。
「ナミさぁん!ロビンちゅわん!後でドリンク持って行くからねぇ!!!」
サンジは目をハートにして手を振った。
「さて、じゃあ片付けますか!」
○○がクスクスと笑った。
「悪いね、○○ちゃん。いつも手伝わせて」
片付け始めた○○を見てサンジも手を動かす。
「ううん!同じバラティエで働いてた仲じゃない!今更遠慮する事なんてないよ」
○○はにっこりと笑った。
「そうかい?じゃあ頼むよ」
サンジは皿を洗い始める。
「いやー!しかし、サンジくんのご飯は本当に美味しいよね!拾われた所がバルティエで良かったよ!」
○○はにこにこと笑いながら食器をサンジのいる流し台へと運ぶ。
「お褒めに預かり光栄です、プリンセス」
「ふふ、泡だらけで言われてもね」
サンジの言葉と姿についに吹き出す○○。
ふと外を見るとルフィが鮫を引き上げていたところだった。
「○○ちゃんは良くルフィを熱い視線で見てるよな」
サンジは皿を洗いながらぽつりと呟く。
「正しくはルフィじゃなくて麦わら帽子ね」
○○はクスクス笑いながらサンジが洗った皿を拭いていく。
「…………そんなに良いのかい?」
サンジが表情を変えずに聞く。
「え?」
「その、男」
「あぁ、シャンクスが?」
○○は頷きながらも手を止めない。
「カッコ良かったよ!本当に!それに、あのルフィをたらし込んだ男でしょ?ただじゃすまないよねー」
○○は本当に嬉しそうにシャンクスの事を話す。
「……でもさ、10年経ってるんだろ?」
「そうなんだよねー。どうしよ?」
○○はあはははと笑う。
「笑い事じゃねェだろうが。相手は四皇だろ?殺されかねねェぞ」
サンジは表情無く皿を洗い終える。
「ここに来たのも彼がいたからこそ。だったら、私の命を終える場所が彼の手なら本望だわ」
ニヤリと笑う。
「こんな事考える自体が海賊っぽいよね?」
○○はにこりと笑うとサンジを見た。
「…………羨ましいね。その男が」
サンジは煙草を吹かした。
「えーそう?」
「あァ、そんなに○○ちゃんに想って貰えてさ」
サンジの言葉に○○はため息をついた。
「まぁ、一途は一途って事にしといて」
乾いた声で笑う。
「……ならさ、俺は?」
皿を拭き終わった○○に一歩近付いた。
「え?」
「お・れ」
サンジは煙草を指で摘まむとずいっと顔を近付けた。
「……嬉しいけど、サンジくんてさ、今いくつだっけ?」
「19」
「……だよねー」
○○はクスリと笑った。
「さすがに私犯罪者になっちゃう」
「既に賞金首だろ」
「確かに!じゃなくて……。サンジくんは能力者じゃないから私にはお得感はない、かな?」
○○はクスリと笑った。
「……はぁ」
サンジはゆっくりと離れた。
○○がホッとした様に小さく息を吐いた。
「っ!!」
サンジはそれを見逃さずに○○に口付ける。
「…………苦」
「感想はそれだけ?」
○○の言葉にサンジは呆れた様に煙草を吹かした。
「サンジくん、シャンクスに会わない方が良いかも」
○○の言葉にサンジはキョトンとする。
「俺の心配かい?プリンセス」
サンジはニヤリと笑った。
想いは煙草の煙に乗せて「ぶえっくしゅん!!!」
「きったねェな!お頭!」
「風邪か?」
「馬鹿!俺は風邪なんかひいた事ねェよ!」
「どんな自慢だ!!」
「うえー、誰か俺の噂してやがるな」
「そりゃ、良かったなぁ」
****
happy birthday サンジ!!!
[ 64/72 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]