その色の宝石
「敵船だぁー!!!!」
見張り係がそう叫んだ。
「よーし!!野郎共!!!開戦だ!!!」
「「「おぉぉぉぉ!!!!!」」」
「すげェ!!!派手に質の良い宝ばっかりじゃねェかぁぁ!!!」
海賊見習いのバギーが敵船から奪った宝の山を見て興奮気味に叫んだ。
「すごーい!!これ綺麗だね!!」
○○も小振りだが綺麗な宝石の付いたネックレスを手に持つ。
「お!オメェは見る目があるな!そいつは派手にお宝だぜ!!!」
キャッキャッとバギーと○○は楽しそうに宝の山を見る。
「おー、お前らは宝が大好きだな」
「レイリーさん!」
後ろから現れたレイリーにバギーが反応した。
「レイリーさんもお宝好きなんじゃないんですか?結構持っていきますよね?」
○○は不思議そうにレイリーを見上げる。
「あ?あァ……」
レイリーが歯切れ悪く声を出す。
「レイリーの奴は女落とすのに使うんだよ」
ニヤリと笑いながらレイリーの肩を組んだのは船長、ロジャー。
「へぇー……」
○○は少し嫌そうな顔だ。
「でも、レイリーさんならそんな事しなくても派手に女から寄ってくるんじゃないすか?」
バギーはニヤニヤと笑う。
「そう!だから、ヤった女に撒いてるんだよ」
ロジャーがレイリーの肩をバシバシと叩いた。
「あ、でもそれならまだ」
○○は納得した様に声を出す。
「何が違うんだよ?」
バギーは不思議そうに頭を傾げる。
「だーかーらー!宝をちらつかせて女を寄せ付けてるんじゃなくて、勝手に寄ってくる女に渡してるんじゃない!お礼って事でしょ?」
「…………同じじゃないのか?」
「だからバギーはモテないのよ」
「何だと?!」
○○の言葉にバギーが怒り出す。
「船長ー!敵さんの荷の中に……って、何やってんだ?」
シャンクスがロジャーを探してやって来たが、バギーと○○の様子を不思議そうに見る。
「あ、シャンクス。これ!シャンクスに似合いそうだよ!」
○○がシャンクスを見付けると指輪を掲げる。
「な、なに?!や、やっと俺の想いが!!じゃあ左手に!!!」
シャンクスが思いきり照れた様に左手を出す。
「馬鹿なの?利き手に指輪なんてはめたら剣握りにくいじゃん」
○○は呆れながらシャンクスの右手の人差し指に青い石の付いた指輪をはめる。
「あ!やっぱり似合うよ!」
「そ、そうか?」
「うん!シャンクスってば顔だけは良いからね!」
「えへへ」
○○の言葉にシャンクスは嬉しそうに照れていた。
「…………派手に褒めてねェな」
「……相変わらずだな」
「…………すげェ……」
バギー、レイリー、ロジャーが呆れながら2人の様子を見る。
「でもさ、何で青なんだ?○○の事だから赤色選ぶと思った」
シャンクスは嬉しそうに指にはまった指輪を見る。
「ほら!この前白髭と戦った時、あのマルコって人が鳥になったじゃない!あの青い炎が凄い綺麗だったから!」
「てぃ!!!」
「「あーー!!!!」」
○○のうっとりとした説明にイラついたシャンクスが指輪を思いきり海へ投げた。
「貴様、シャンクス!!派手に何しやがるんだぁぁ!!!」
バギーがシャンクスの胸ぐらを掴む。
「だってよー」
「馬鹿シャンクス!!拾って来てよー!!!」
○○もシャンクスに詰め寄る。
「…………フン」
シャンクスはプイッとそっぽを向く。
「もー!!」
○○はあーあ、と海を見下ろした。
「○○、少しはシャンクスの気持ちも考えてやれ」
夜、自室にいた○○をレイリーが尋ねた。
「……」
「あいつはお前の事が好きなんだよ。だから、お前が他の男を思った指輪を貰っても嬉しく無かったんだよ」
レイリーは穏やかに声を出す。
「…………わかってます。…………でも」
○○はベッドの上で膝を抱えた。
「何だ?」
「…………」
「言ってみろ」
「…………誰にも言わないで貰えます?」
「わかった」
○○は顔を真っ赤にして唇を噛み締めた。
「わ、私の好きな色なんです、青って」
○○はポツリと呟く。
「ほう」
「だから、シャンクスに持ってて欲しくて。……でも、素直に言うのは恥ずかしいし……」
ポツリポツリと呟く声はレイリーにようやく届く音量だった。
「たまには素直になるのも良いんじゃないか?」
レイリーがにこりと笑ってベッドに腰掛け、○○の頭を優しく撫でた。
レイリーは幼い2人の幼い恋心を垣間見たのだ。
「…………無理だよ、あんな変態」
「…………まァ確かに、な」
レイリーは少し呆れながらシャンクスの顔を思い出した。
「絶対、誰にも言わないで下さいよ!!」
「分かった、分かった。さァ!宴に戻ろう」
「…………はい」
レイリーの優しい笑顔に○○は素直に頷いた。
その色の宝石「「「ビンクスの酒を〜届けに行くよ〜♪」」」
「みんな出来上がってる」
「その様だな」
「あ!○○!!」
「船長にシャンクス、どうしたの?」
「「パンツ見せて貰っても宜しいですか?」」
「……………………………………見せるかぁ!!!!!!」
「ぐはっ!!」
「どふっ!!!」
「はぁ、はぁ、はぁ。この、変態どもがぁぁぁ!!!!!」
「な、なんかさ、この歌歌うとどうしても」
「言わなくてはいけない使命感に駆られて!」
「…………はぁ」
こりゃ、当分無理だなと思うレイリーであった。
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