潤いが欲しい

あぁ、潤いが欲しい……


高校の教師になってから、行く年月。
生徒達は、まぁ、可愛い(何故か不良も多いけど)
先生間の人間関係も良好(何故か元不良も多いけど)

だけど!

それでも!!

「はぁ……」

ため息も出ちゃうよ。
生活に潤いがない!カッコイイ彼氏!そして素敵な旦那様!
私に欠けているもの!

「って!もうこんな時間!!」

急いで支度を整えると、急いで家を出る。









「○○先生おはよー!」

「おはようございます!」

「先生チャリ良いな!」

「良いでしょ!遅刻しないようにねー」

そんな声を生徒から貰いながら学校へ到着。

「あ、シャンクス先生おはようございます」

赤い髪に声をかけるとシャンクス先生はいつもの様ににかりと笑う。

「お!○○先生おはよー!」

シャンクス先生は軽く手を上げる。

ぺたぺたとスリッパで歩くシャンクス先生に並ぶ。

「今日でテスト週間も終わりですね」

私はシャンクス先生を見上げる。

「そうだな。部活も無いから暇だったな」

「って、ちゃんと採点してあげてくださいよ」

高校生の様な事を言うシャンクス先生に思わず笑いがもれる。

「ガンバリマス」

やる気のない言い方に今度は声をあげて笑ってしまった。

「やっぱり○○先生は笑顔の方が似合うな」

そんな事をさらりと言うものだから、私は思わず赤面してしまう。

やばい、職員室着いちゃう!

「はよーざいまーす」

やる気のない声と共にシャンクス先生が職員室に入る。

私も少しだけ呼吸をしてから職員室に入る。








「後10分ー」

皆頑張ってるなぁ。
私は机の周りを回りながら皆の解答をチラチラと見る。

埋まってる子もいれば、真っ白に近い子もいる。

それでも、この時間は皆集中している。

よしよし、カンニングも居なさそうだし。大丈夫だね。



ーーキーンコーンカーンコーン


「はーい。終わりー!後ろから回答用紙集めて!」

チャイムと同時にガヤガヤとざわめく教室。
やっと長かったテスト週間が終わり、取り合えずの生徒達は解放感を味わっている。






ーーー





テストも終わり、放課後採点をする。

「最後はルフィか……」

俺はルフィの回答用紙を見てため息をつく。

「全く。部活ばっかじゃなくて、勉強も少しはしろ!」

ぺけの多い回答用紙を眺め、終了!

周りを見渡すと、既に職員室には誰もいなかった。

「まぁ、わざわざ残って採点する人も少ないよな」

他の先生はだいたい家に持って帰って採点する。
まぁ、俺もそうだったんだが。

ふと、その人の机を見るとまだ鞄が置いてあった。

「あれ?まだ帰ってないのか?」

すでに日も落ちて暗い。

俺は採点の終わった回答用紙の束を乱暴に机にしまうと席を立つ。



見回りも兼ねて校舎を歩き回る。

人の気配を感じて覗き込むのは俺の担任のシー組。

窓が空いているのかカーテンがゆらゆらと揺れている。

「お」

その近くの席に座っているの○○先生。
俺の探していた人だ。

ゆっくりと近付く。どうやら寝ている様だ。

「おいおい」

苦笑いをしながらその細い肩に手を置く。

そう言や、この席誰のだ?

…………。金髪ぐる眉か。

何だか、胸の内側に黒くてドロリとした感情が生まれる。

「○○」

眠るのそ耳に口を近付けて名を呼ぶ。

「ん……」

小さく漏れる声に思わず喉を鳴らす。

「○○、起きろよ」

俺はべろりと耳たぶを舐める。

「んん」

お、起きるか?

「……?」

○○はボーッとした目のまま俺を見る。
こんなに近くで寝ぼけた○○の顔を見るとは思わなかった。

「っ!!」

気付いたら俺は○○に唇を重ねていた。

「え??しゃ、シャンクス先生!!!」

○○は驚いて立ち上がり、俺から距離を取る。

「そいつが良いのか?」

「へ?」

俺の言葉が解らない様で、○○は顔を真っ赤にしたまま戸惑った顔をする。

「だから、サンジが好きなのか?」

解るようにゆっくりと声に出す。
○○は気付いた様に今まで座っていた机を見た。

「あっ!違っ!!」

○○は慌てて頭を振った。

「じゃあ、何でここで」

「こ、高校生の時、この席だったんです!」

「あ?」

「さ、さらに言うならしゃ、シャンクス先生が教育実習に来た時、この席だったんです……」

○○は小さく呟く様に言う。

「……へ?」

俺は思わず間抜けな声を出す。

「……か、片想いなんです。悪いですか?」

○○は可愛い真っ赤な顔で俺を睨む。

やべ、もう、我慢出来ん。

「悪い」

「っ!!」

傷付いた顔をする○○。

「俺もお前の事思ってたからな。片想いじゃねェな」

「へ?」

間の抜けた顔、少し開いた口に俺は自分の口を押し付ける。

「ん!」

開いた口に舌を潜り込ませ、堪能する。

「ふっ……ん」

○○から漏れる声に余計に煽られて行く。

「潤いが欲しかった」

「え?」

俺の言葉に○○が反応する。

「お前が欲しくて仕方がなかった」

俺は○○をギュッと抱き締める。





潤いが欲しい





「わ、私も同じ事思ってました」

「お!そうなのか!」

「(こくん)」

「あはは!可愛いなぁ○○は」

「シャンクス先生!」

「ん?」

「す、好きです」

「…………俺も、好きだ」

「嬉しいです」

「……よし、帰るぞ」

「へ?」

「もっと潤してやるよ」

「っ!!!!」

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