さぁ!君を捕まえよう(前編)

キャッキャ!と子供達の遊ぶ声で意識が浮上する。

ふと目を覚まし、辺りを見回すと、どうやら公園らしい。

「ん?痛っ……」

ずいぶんと硬い場所で寝ていたと思ったら、自分の寝ていた場所は木のベンチ。

自分の置かれている状況が解らずにシャンクスは体を起こすとキョロキョロと辺りを見回した。

「あァ、確かみんなで飲んでて……」

二日酔い特有の頭痛と吐き気、ムカつき。

「……ってか、何で俺こんな所に?」

シャンクスは不思議そうに声を出す。

「ん?なんだ?」

目の前に来た子供を不思議そうに見る。

「おじちゃんなにしてるの?」

子供特有の舌っ足らずの言い方でシャンクスに声をかける。

「ん?ここで寝てた」

シャンクスは笑いながら言う。

「ねんね?」

「そう」

子供の言葉に頷いた。

(ルフィを思い出すな)

シャンクスは子供の頭を撫でる。

「こんにちは」

声をかけられ、顔を上げると女性がこちらを見ていた。
逆光で顔は見れない。

(やべ、俺不審者か?!)

シャンクスは慌てた。

「良かったね、遊んで貰って」

「うん!おかあしゃん!」

女性が子供に視線を合わせる様に座る。
そこでようやく彼女の顔が見れた。

(っ!!)

ずきゅんと胸を撃ち抜かれるのがシャンクスにはわかった。

「大丈夫ですか?」

女性はシャンクスに声をかける。

「あ、あァ。駅はこの近くに?」

シャンクスは誤魔化すように聞く。

「え?……ちょっと遠いですね」

うーんと考える仕種も可愛らしいとシャンクスは思った。

「あァ。そう言や、昨日は送迎があったからな。駅、遠いのか」

どうするかなとシャンクスは頭をガシガシとかいた。

「タクシー呼びます?あ、お金はありますか?」

女性は不安そうに言う。

「え?あ、大丈夫。財布も中身もあるよ。呼んで貰えるか?」

シャンクスは笑顔で聞く。

「はい!待っててくださいね」

女性が携帯電話を片手に電話し始めた。

「お母さんのお名前は?」

シャンクスは子供に聞く。

「おかあしゃん!」

「ダメか……」

まだ3歳ほどの子供には難しかったようだ。

「15分程で来るそうですよ」

女性が戻って来た。

「ありがとう。助かったよ」

「いいえ!」

女性はにこりと笑った。

「連絡先とか教えて貰えるか?お礼がしたいから」

シャンクスは自然に笑う。

「あはは!要らないですよ」

女性は笑った。

「……じゃあ、これ俺の名刺」

シャンクスは名刺入れから一枚名刺を取り出す。

「ご丁寧に」

○○はにこりと笑う。

「……名前だけでも教えてくれないか?」

シャンクスは下手に出て聞く。

「□□です」

「下は?」

「……○○です」

名前を教えるのも渋るが、名刺を渡された手前、自分も名乗るのが礼儀だと名乗る。

「ありがとう、○○さん」

シャンクスは嬉しそうに笑った。

「よし!タクシー来るまで遊んでやるぞ!」

「キャッキャ!!」

シャンクスが子供を高い高いする。

子供は大喜びだ。

「ふふ、良かったね。お父さんより高いもんね」

○○はクスクスと笑った。

○○の言葉がずきりと胸に突き刺さるが、シャンクスはそれを振り払う様に子供と遊んだ。

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