これくらいで十分

※微妙な本誌ネタバレを含みます。
二文字ですが……大丈夫だと自信を持てる方だけご覧ください。















「おい、そのガキはなんだ?」

クロコダイルが葉巻を吹かしながら怪訝そうにドフラミンゴの膝に座る小さな少女を見た。

「フッフッフッ!俺の愛しの娘だ」

ドフラミンゴはいつものニヤリと笑う顔を作る。

「…………主の娘がそんな素直そうな顔はしないだろう」

ミホークも怪訝そうにドフラミンゴの膝に座る小さな少女を見た。

まだ小さく2歳ほどで、子供特有の柔らかそうなもちもちとした肌にぷっくりとした頬が印象的だ。

「おい、あまり近付くな!怯えるだろ」

ドフラミンゴがシッシッと2人を手で払う。

「……」

「……」

クロコダイルとミホークは眉間にシワを寄せドフラミンゴを見る。

しかし、2人の事を知らない人間には睨んでいる様にした見えないのだが。

「……パパのおともだち?」

少女はドフラミンゴを見上げて聞く。

「フッフッフッ!下僕だぜ」

「誰がだ」

「ふざけるな」

ドフラミンゴの言葉にクロコダイルとミホークが苛立たしげに答える。

「パパをいじめないで!」

少女はドフラミンゴが虐められていると感じたのか、勇敢にも2人に立ち向かう。

「……」

「……」

あまりにもドフラミンゴと違い、素直な性格の少女に黙り混む2人。

「フッフッフッフッ!さすが、俺の娘だぜ」

「誰があんたの娘よ。人拐い」

冷たい声と共に現れた女はドフラミンゴの脛を思いきり蹴りあげた。

「フッフッフッ!やってくれるぜ、○○チャン」

それでもなお、より一層楽しそうに笑うドフラミンゴ。

「ママ!!」

少女は女ーー○○に抱き付く。

「ごめんね。ママがちょっと目を離した隙に変態に連れていかれて!」

○○はよしよしと我が子を撫でる。

「フフフ……。○○チャン、つれないな」

ドフラミンゴは少し寂しそうに笑う。

「私にとったらあんたと婚姻関係なのも不愉快だし。こんなに可愛い私の娘の血が半分はあんたのって事も気に食わないわ」

○○の冷たい辛辣な物言いにクロコダイルとミホークが少しだけ哀れみの目でドフラミンゴを見る。

「フッフッフッ!それでもそれが事実なんだよ」

ドフラミンゴはニヤリと笑う。

「この子があんたに1ミリも似てなくてホッとするわ」

○○は吐き捨てる様に我が子を抱き上げる。

「さぁ、お家に帰ってケーキでも食べましょう」

○○はにこりと我が子に笑いかける。

「パパは?パパがいないと、わたし、さみしい」

少女はしゅんと小さく呟く。

「チッ」

「○○チャン……」

我が子に見えないように舌打ちをすると、ドフラミンゴはその姿をはっきりと目にする。

「パパは、普段若様とか呼ばれてイイ気になってるけど、ただの変態なの」

「へんたい?」

「そう。だからね、パパは病気なの」

「びょうき!」

「うん。だから、貴女にうつったら大変でしょ?だからパパはこれから病院に入院なの。精神科に」

「……」

「……」

「……」

にこにこと語る○○に男3人は黙っている。

「たいへんだね!」

「そうなの。だから、寂しいけど、我慢しなくちゃね」

「……いつかえってくるの?」

「ん?パパの病気が治ったら」

「いつなおるの?」

「…………もしかしたら、永久に治らないかもね」

○○は辛そうな顔を作る。

「そんなのや!」

「そうね。だから、パパに早く変態を治してねって言ってあげて」

○○はハイ!と、娘をドフラミンゴに向ける。

「パパ」

「フフフ、なんだ?」

「はやくへんたいなおしてね!」

わが娘に心配そうに言われたドフラミンゴ。

「フッフッフッ!それは無理な相談だぜ」

ドフラミンゴはニヤリと笑う。

「なら、永久的にさようなら」

○○は娘を抱いたままくるりと踵を返した。

「フフフ……。待てよ」

ドフラミンゴは懲りもせず2人を楽しそうに追いかけた。









これくらいで十分








「……あいつの嫁、凄いな」

「あれくらいで無いと、務まらんのだろう」

「そうだな」

「あァ…………」

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