犯人に鉄槌を!

「…………また」

○○は怒りを覚えていた。



バタンッと乱暴な音と共に○○は風呂場のドアを閉めた。

「どうした、○○。そんな乱暴に閉めたら壊れるだろう」

副船長であるレイリーが呆れた声を出す。

「れ、レイリーさん!!もう!私は怒ってます!」

「見れば解るが、どうした?」

「3回目です!3回目!!今月に入ってからですよ?!」

○○は怒りに任せてレイリーに詰め寄る。

「……またか?」

レイリーは眉間にシワを寄せる。

「またです!」

○○は嫌そうに叫ぶ。

「何で私の下着ばかり無くなるんですか?!」

○○は嫌だー!と頭を抱える。

下着泥棒が出始めたの今月に入ってから。
狙われるのは風呂に入る前の下着。洗濯済みの着替え用の下着には目もくれない様だ。

しかも、船は航海中。犯人は同じ仲間と言う事になる。
それが嫌で、今まではレイリーにしか話さないでいた。

しかし、それも限界だ。

「まァ……。野郎ばかりの船で女が一人だからな」

レイリーはため息混じりに言う。

まだ、狙われたのが下着で良かったじゃないか。と言う言葉は出さずに飲み込む。

「こんなに頻繁に盗まれたら、次の島に着くまでになくなっちゃいます!それじゃあ、困ります!!」

○○はえーんとレイリーに泣き付いた。


「どうしたー?○○」

「ひっく、しゃ、シャンクスぅー」

○○は年の近い同じ見習い仲間のシャンクスの姿に泣きながら近付いた。

「ど、どうしたんだよ?」

シャンクスは戸惑いながら涙を流す○○に駆け寄る。

「ふ、ふぇーん」

「…………レイリーさん。まさか……」

シャンクスが不安そうにレイリーを見上げる。

「言っておくが、俺は何もしていないからな」

レイリーはやれやれと両手を挙げる。
いくら若い娘が好きだからと言って、仲間に手を出す程落ちていないとレイリーは首を振る。

「し」

「し?」

「下着が、また、盗まれた」

○○は何とか涙を堪えて言う。

「したぎィ?!しかも、またァ?!」

シャンクスは思いきり眉間にシワを寄せる。

「あれ?」

「ひぃっ!」

「履いてるじゃねェか」

シャンクスはすすっと○○のズボンの上からパンツの輪郭をなぞる。

「変態!!!」

「ふがっ!!!」

○○のストレートパンチがシャンクスの顔面に叩き込まれた。

「ったく」

自分の横を通り過ぎるシャンクスに向かってレイリーはため息を吐く。

「まさか、シャンクス、あんた?」

○○はふるふると震える拳を握ったままシャンクスに詰め寄る。

「は?いや!今回は違っ!」

「今回……は?」

「うっ!止っ!」

「問答無用!!!」

「むぶっ!!!」

立ち上がったシャンクスに○○の回し蹴りが決まる。

「レイリーさん!この変態どうにかしてください!」

○○は怒りながら倒れたシャンクスを指差す。

「……そうだな」

レイリーはため息をつく。

「こりゃまた、派手にやられたな!!」

ザマァ見ろ!と同じ見習い仲間のバギーが笑った。

「風呂覗かなかっただけましだろ?!」

「反省の色なし?!返してよ!私の下着!」

○○はシャンクスに手を出す。

「………………断る」

「シャンクス!」

「なら!」

シャンクスはすくりと立ち上がる。

「俺と付き合ってくれ!」

「嫌よ!何で交換条件になってるのよ!?」

「仕方ないだろ!○○の事好きなんだよ!」

シャンクスが真剣な顔をする。

「はっ?!……な、何言うのよいきなり!」

○○は顔を赤くさせ、戸惑いながら声を出す。

「いきなりじゃねェよ!」

シャンクスはなおも真剣に声を出す。

「青春だな」

「そうだな」

「若いな」

いつの間にか回りには人だかりが出来ていた。

「っ!!しゃ、シャンクスなんて知らない!」

○○は顔を真っ赤のまま踵を返す。

「待てよ!話は終わってない!」

シャンクスが○○の後を追う。





「ところで、○○の下着盗んだのは誰なんだ?」

「派手に俺じゃ無いですよ!」

「俺も違う」

「俺もー」

「………………まさか……ロジャー?」

「…………ま、まさか!お、俺は、る、ルージュ一筋……」










犯人に鉄槌を!












「この!変態船長!!!」

「ぐはっ!!!」

「見事だ、○○」

「○○ー!俺と付き合ってくれー!」

「うっさい!!!」

「わふっ!!!」

「…………青春だな」

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