みぃつけた!
グランドライン後半の海・新世界。
ここで生き抜くには四皇の傘下に入るか、四皇に挑み続けて航海するかしかない。
○○は自分の船を持たず、色々な船に乗せてもらい(ヒッチハイクに似ている)旅を続けていた。
そんな中、いよいよ新世界に入るとなった時。
「四皇ねぇ。出来たら白髭か赤髪が良いなぁ。白髭の方が人数多いしベストなんだけど」
○○は捕まえた大きな猛獣を焚き火で焼いて頬張る。
「それに、傘下も多いから、出会うとしたら白髭の方かしらね」
もぐもぐと咀嚼しながら海を見渡す。
「それより、誰か来ないかなぁ」
○○は困った事に(まぁ、本人としてあまり困ってはいない様だが)無人島に一人なのだ。
前に乗せて貰った船は次の島までと言う契約だったからだ。
「あ……」
○○が目を凝らして見ると、遠くから船が近付いて来るのが見えた。
○○は生えている木から枝を何本か取り、焚き火に入れる。
すると、もくもくと煙が上がり始める。
「気付くかな?」
荷物から双眼鏡を取り出し、覗き込む。
「よし!来る!」
○○は荷物を纏めると、その船を待つ。
「その狼煙はお前かぁ?」
大きな船の甲板からドレッドヘアの男が話しかけて来た。
「はい!この無人島に置いていかれて困ってたんです!」
○○はなるべく人当たりの良い声と態度で叫ぶ。
「そりゃ、難儀な話だな」
違う男が肉を片手に声を出す。
「で?お前さんはどこに行く気だ?」
眉毛のない男が聞く。
「…………。特に決めて無いですが、世界を見に!」
○○はにこりと笑った。
「ほほぅ、世界を、な」
楽しそうな声と共に現れたのは赤髪に左目に三本の傷、黒いマントの男。
「………………赤髪?」
○○は驚いた顔でぽつりと呟く。
「お!俺を知ってるのか?」
赤髪がにかりと笑った。
「そ、そりゃ……」
○○はこんなに早く会えるとはと不思議そうに赤髪を見る。
「乗ってくか?」
赤髪は右手の親指で自分の背後を指す。
「い、良いんですか?」
「あァ、無人島だと、他の所に行くなら仕方がないなだろ」
「あ、ありがとうございます!」
赤髪の言葉に○○は素直に頭を下げる。
「今、梯子下ろすからな」
「心配無用です!」
○○は少し助走を付けてから、トーンと跳んだ。
「「「おぉ!!!」」」
スタンッと船に跳び移ると歓声が上がる。
「○○です!宜しくお願いします」
○○はぺこりと頭を下げる。
「おう!俺はシャンクス。そっちが副船長のベックマン。ヤソップとルウと……その他もろもろだ!」
「「「略すなよ!!」」」
シャンクスの言葉にその他もろもろが突っ込む。
「しかし、ここまでどうやって来たんだ?女一人で」
シャンクスは不思議そうに○○を見下ろす。
体型も雰囲気もいたって一般的な女性。
「ふふ、女だと思ってると、火傷しますよ?」
○○がにっこりと笑う。
「ふわっぷ!!!」
「ど、どうしたお頭?!」
「お頭?!鼻血?!」
「こ、この女、能力者か?!」
突然鼻血を出し始めたシャンクスに回りの幹部以外がわめき出す。
「何やってんだ?お頭?」
呆れた口調でベックマンがシャンクスを見下ろす。
「くっ!可愛い!!!」
「…………は?」
シャンクスは呻くように声を出す。
「おま!○○だったな!俺の女になれ!な?」
シャンクスは真面目な顔で○○の肩に手を乗せる。
ただし、鼻血を流しながら。
「………………え?四皇って変態だ……」
○○は眉間にシワを寄せてシャンクスを嫌そうに見る。
「…………否定は出来んな」
同じく眉間にシワを寄せてベックマンが呻く。
「ごめんなさい。嫌です」
○○は丁寧に頭を下げる。
「ぐはっ!可愛い!!!」
「…………キモ……」
再び鼻血を出すシャンクスを嫌そうに見る。
「あの、やっぱり乗せてもらわなくて良いです。私、白髭の傘下になる」
○○は船から飛び出そうと手すりに手をかける。
「野郎共!!出港だ!!!」
「へ?」
キリリとした声と共にシャンクスは片手で○○を易々と抱き抱える。
「は!離せ!!!」
新世界の猛獣を一撃で倒すほどの○○の力を持ってしても、片手で抱くシャンクスの手はほどけない。
「大丈夫だって!怖くない、怖くない!どうどう」
動物か何かを扱うようにシャンクスは楽しそうに○○を運ぶ。
「ちょっ!どこに手を入れ!」
「あはは!嫁が手に入った!」
シャンクスは上機嫌だ。
みぃつけた!「良かったな、お頭」
「おう!どっかで結婚式しないとな」
「離せー!!!」
「暴れるなよ!可愛いなぁ!!」
「ギャァーーー!!!」
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