ようこそ!カフェへ!
はぁ!初日の出も見られたし!今年は一年良い年になりそうだな!
そろそろ寒いし、お腹も減ったからどこかに入りたいなぁ……。ん?
「白クマカフェ?元旦のこんな時間からやってるんだ。入って見ようかな?」
私は恐る恐るその扉を開けた。
ーーカランカラーン
「いらっしゃいませ!」
女性定員さんの華やかな声につられて私は店内へと足を踏み入れた。
「あ、あの!……やってるんですか?」
「やってますよ。空いてるお席へどうぞ!」
店内は意外と客が入っていた。人気のお店らしい。
「えーっと、何にしようかな……」
「いらっしゃい」
「ふっ?!」
目の前には大きな白クマがお冷やを出してくれた。
「何にします?」
「あっ!!えーっと……」
ついつい見惚れてしまったので、慌ててメニューへと顔を戻す。
「いやぁ!朝が爽やかで良いね!あ!白クマくん、カフェモカお代わりね」
「ふひっ?!」
「はい」
カウンターに座っていると隣に座っていると何と皇帝ペンギンがやってきた。
驚きなのが、その座り方で、なんと!
「ご注文」
「え?」
「決まった?」
「あ!す、すみません!えーっと、紅茶をストレートで!」
「はい」
私がペンギンさんに見惚れていると白クママスターに声をかけられて驚いてしまった。
……あれ?何考えてたっけ?……まぁ、良いか。
「白クマくーん!ぼくも笹お代わり!大盛りでね!」
あ、あれ?今度はパンダだ!パンダとペンギンに挟まれた!!何コレ?幸せ!!!
「メニューの笹は動物さんがたくさん来るからなんだ」
「うん!そうだよ!」
小声で呟いたと思ったけど、パンダさんが返事をした。驚いて振り返ると「えへへ」と笑顔のパンダさんを見て私も笑ってしまった。
「はい、お待たせ」
「あ、ありがとうございます。あの!」
「ん?」
「ケーキも食べたいのですが」
「…………ケーキ?」
私がケーキと言った瞬間に白クママスターの表情が変わった。え?なに?
どこからともなく変なBGMが流れ、白クママスターが何故かスーツを着て茶色い小物入れを持つ。
「ん?」
「それは定期!」
「っ?!」
私が何だろうと悩む暇もなくペンギンさんが的確な突っ込みを入れる。
白クママスターが一度引っ込むと八百屋さんの様な服装で早着替えをした。
「ぼちぼちでんなー」
「それは景気!」
「なるほど」
私は思わず頷いてしまう。
「もー!白クマくん!ケーキだよ!ケーキ!君、何ケーキ?イチゴ?チョコ?」
痺れを切らせたペンギンさんが私に向かってパタパタと羽?を動かした。
何て可愛い姿だろう。
「どうしたのー?ペンギンさんがうるさかった?」
逆隣からパンダさんがそう声をかけてきた。
「ひどくない?」
「え?いえ!違います!ペンギンさんがあまりにも可愛らしくて!!」
「え?」
「えぇ?!」
「え?」
「え?」
私の言葉に驚いたのか、先程のウェイトレスのお姉さんまで驚いていた。
「可愛いのは、僕でしょ?」
パンダさんが何故か焦った様に私の服を引っ張る。
「パンダさんが可愛いのは当たり前過ぎちゃって。生で見るとペンギンさん凄く素敵です!」
私がにこりと笑うとパンダくんが衝撃を受けた顔をした。何故?
ペンギンさんは固まっていたけど、いつの間にか動き出した。
「ぼ、ぼく!落語好きなんだけど!」
「本当ですか?私も!特に「目黒のさんま」とか好きです」
「覚えてくるね!練習してくるよ!!!」
「本当ですか!楽しみにしてますね!」
「うん!!」
私はペンギンさんと向かい合い、幸せな気持ちになった。
「……あ!!」
私は席を離れるとカウンターの端へと移動する。
「あ、あの!」
「はい?」
何て言う声を……!!!
「ラマ……ですよね?あ!すみません!ラマさんですか?」
私がそう声をかけると店内がざわりとした。
「……え?えぇ、ラマ、です」
ラマさんは何故か驚いてから頷いた。
「しゃ、写真良いですか?!」
「もちろんです!」
声が一段階高くなった。私は自撮りでラマさんと並んで写真を撮った。デジカメで確認すると私と共に輝いた満面の笑みを溢すラマさんがいた。
「ありがとうございました!!」
私はラマさんに頭を下げるとペンギンさんへと向かった。
「ぺ、ペンギンさん!良かったら」
「喜んで!!!」
私とペンギンさんはカメラに向かって笑顔で写真を撮った。
何て素敵なカフェ!!!
「……」
私は恐る恐る白クママスターの方へと顔をあげる。
「……!」
お仕事の邪魔になるかと思ったが、何故か先程のスーツを着て準備万端だ。
「一緒に撮って貰えますか?あと、パンダさんも」
「もちろん!」
「え?ぼくも!だよねー!!」
落ち込んでいたパンダさんも元気を取り戻して写真を撮ってもらった。
「うわー!今年は元旦から縁起が良いです!!皆さん!ありがとうございました!!」
私はデジカメで画像を確認すると皆さんに頭を下げた。
私は紅茶のお金だけ払うと荷物を持った。
「また、いつでもおいで」
その声に私は店内をもう一度振り返った。
「はい!また、来ます!」
私は笑顔で白クマカフェを後にした。
ようこそ!カフェへ!「いやー!良い子だったね!!」
「そうですね!!」
「あーあ、ペンギンさんとラマさんがモテモテなんて、ありえないよね!」
「……酷いね、パンダくん」
「次はケーキ。出してあげないとね」
「そう言えば食べて行かなかったね」
「急いでいたみたいですしね」
「そうだね。笹子さん!カフェモカお代わりね」
「はい」
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