インフルエンザにご注意ください

「げほっ!!」

○○は苦しそうに咳をした。咳をすると喉が痛くて、なるべく咳をしないようにする。

「……ない」

手を伸ばした先にあるのど飴の袋には既に中身はなかった。
近くにあるゴミ箱にすら手は届かずのど飴の空袋は布団の脇に落ちた。

「……うぅ……しかし、タミフルのんだのに効果が出ない……」

○○は辛そうに顔をしかめた。
熱はまだ38℃を下回っていなかった。

「……シャンクス先生に鼻に棒を入れられたのは辛かった」

○○は病院嫌いだったが、高熱が下がらないので何とか病院へと行ったのだ。










「お?起きたか」

「……?」

○○の目の前にはキッチンに立つ人がいた。

「うーん、まだ熱はあるな。少し待ってろ」

赤い髪が近付いたと思ったらすぐに離れた。
ひんやりとした手が熱い○○のおでこには気持ちが良かった。

「ほら、これ飲め」

「んっ?!」

前にも飲んだ事のある卵酒を飲まされる。途中で止める事すら許されず、最後まで無理矢理飲まされる。

「くはっ!!ふー……」

「良し!良くできた」

「……せんせ?何で……?」

○○が飲み終ったコップを手に取るとシャンクスはにかりと笑った。

「あん?そりゃ、合鍵貰ったろ?」

シャンクスはポケットを探すと竜のキーホルダーが付いた鍵を取り出した。

「ほらな?」

「え?!」

「えぇ?!って忘れたのかよ!薄情だな!」

シャンクスは言葉とは裏腹に楽しそうに笑い飛ばした。

「今お粥ができるからもう少し待ってろ」

シャンクスは鼻唄混じりにキッチンへと立っていた。

「……」

○○は卵酒とシャンクスの発言のせいで頭の中が混乱していた。

自分の家の合鍵を憧れのシャンクス先生が持っている事があり得ないと決めつけ、夢だと信じた。

「シャンクス先生」

○○は夢ならばと覚める前にシャンクスを呼ぶ。

「ん?どうした?」

シャンクスが笑顔でこちらを見た。

「前もこんな事あったよな」

シャンクスは○○に目線を合わせようとしゃがんだ。

「シャンクス先生、好きです」

「ん?!」

「大好きです!」

○○はそれだけハッキリと言うと、熱と卵酒のアルコールのせいでバタンッと倒れた。
大満足の笑顔からは規則正しい寝息が聞こえだした。

「ーーー!!!」

一方、言われたシャンクスは自分の口元を手で覆い隠していた。

「う、合鍵は忘れて行った奴の冗談だったんだが……参ったな」

参ったな。とは言いつつも、満更ではない口の緩みと顔の赤さ加減は見事なものだった。









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「……起きたら、どうすりゃ良いんだよ?俺」

「あーあ、可愛い寝顔しちまってよ」

「……ま!その時考えるか!」

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