04

暗くなった帰り道。
大学から駅までの道のりは20分。
シャンクスは半分まで来た所で歩みを止めると○○に向き直った。

「○○さんの事が好きになったから、付き合ってくれ!」

シャンクスが真剣な表情でしっかりと○○の目を見て言う。

「…………うん」

○○は嬉しそうにうっすら涙を浮かべて頷いた。

「……大切にする」

シャンクスはしっかりと○○を抱き締めながら声を出す。

「……うん」

○○はシャンクスの腕の中で頷いた。






ーーピピピピ、ピピピピ、ピピピピ






もぞもぞと手を動かして携帯電話のアラームを消す。

「…………?」

○○は布団の上で不思議そうに辺りを見回した。
そこは夜でもなければ帰り道でもない。
目の前にシャンクスもいなかった。

「………………っ!!!」

そして今まで見ていたそれが自分自身が見ていた夢だと言う事実に気付き、悶絶した。

「ちっ、違う!違うの!!私は別にシャンクスくんの事を!」

「○○ー!起きなさーい!!!」

誰にだか、何にだか解らないが言い訳をしていると、部屋の外から母親の声がした。

「っ!大変!」

今日は1限から授業があると○○は慌ててベッドから起き出した。








「おはよー○○」

「……おはよー……」

教室に入り○○はカバンを机に置きながら友人に挨拶を返した。

「どうしたの?元気ないね?」

友人は心配そうに○○を覗き込む。

「……そんな事……」

○○はちらりとシャンクスの方を見る。
大学の講義は教室だけ決められていて自分の席と言う物が基本的にない。
しかし大体ほとんどの人が同じような席に座る。
なので○○もシャンクスを難なく見付ける事が出来た。

シャンクスは○○の視線に気付くとにかりと笑って手を振った。
○○は顔を真っ赤にしてパッと視線を反らせた。

シャンクスはキョトンとした。








シャンクスと一緒に帰る様になりすでに数ヶ月の月日が流れていた。

しかし、今日はいつもと違った。

「なァ、○○!」

シャンクスが手を伸ばすのを○○はびくりと体を震わせた。

「っ!ご、ごめんなさい……」

○○は顔を真っ赤にしてシャンクスから遠ざかった。

「いや……」

シャンクスは伸ばした手をそのままに止まった。

「おい、どうした?何かあったのか?」

シャンクスは心配そうに○○を覗き込む。

「っ!!!」

シャンクスと目を合わせると○○は顔をさらに真っ赤にした。

「……もしかして」

シャンクスはびくりと体を震わせる○○の手を無理矢理掴んだ。

「は、離して」

顔を真っ赤にして嫌がる○○の顔を手で包み込み無理矢理視線を合わせた。

「俺が嫌い?」

シャンクスが真剣な顔をして聞く。

「……ううん」

○○は恥ずかしそうに目を反らした。

「じゃあ、好きか?」

シャンクスはジッと○○を見た。

「っ!!あ……」

○○は涙が溢れた。

「なァ。俺は○○さんが好きだ」

シャンクスはジッと○○を見続けた。

「わ、私は……」

○○はシャンクスの言葉にさらに真っ赤にしてシャンクスを見つめた。

「大丈夫。俺を信じてくれれば良い」

シャンクスは真剣に言葉を紡いだ。

「…………わ、私は、シャンクスくんが……す、好き。だと思う」

○○は泣きながらシャンクスに伝わるようにゆっくりと声を出した。

「思う?」

「だ、だって、初めてだから仕方ないよ」

「だな。今はそれで良いよ。ありがとう」

シャンクスは○○を抱き締めた。
○○は静かにシャンクスを抱き返した。

「お願いがあるの」

「お願い?」

シャンクスは不思議そうに○○を見る。

「うん。私の事好きじゃなくなったり、他の子を好きになったらちゃんと教えてね」

○○は笑顔で言った。

「そんな事」

「お願い」

シャンクスの言葉を遮り○○はなおもお願いをした。

「……そんな事無いとは思うが、解った。約束しよう」

シャンクスは仕方がないと頷いた。

「ありがとう」

○○はにこりと微笑んだ。






今までに感じた事のない思い

知識では解っていても

初めて知る貴方への思い




知らない思い







「……○○さん俺!!」

「あ!電車!」

「へ?」

「じゃあ、また明日ね!シャンクスくん!」

「え?あ?行っちゃうのかー!!!」

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