03
それからシャンクスとは頻繁に会う様になった。
なかなか少なかったメールの回数も増えて行った。
他愛の無い話題や今日あった事、友人達や講義の話。そして、それぞれ自分たちの事を良く話した。
実は同じ学科だと判明した時は
「え?知らなかったのか?」
シャンクスは驚いて○○を見た。
「……うん。興味が無かったから」
申し訳なさそうに正直に話した。
シャンクスはがっくりとしながらも「それなら仕方ねェな」と苦笑していた。
それから講義の時に良く周りを見渡すとちゃんとシャンクスもベックマンもいた。
シャンクスは○○と目が合うとにかりと笑って手を振った。
○○は慌てて顔を反らせた。
同じ学科と言えども、全員で180人を越えるので仕方の無い事だと言える。
○○は以前よりシャンクスからのメールや火曜日と木曜日が楽しみになっていた。
講義には体育の様なものもあった。
学科の必須科目ではないのだが、教育課程を取る○○にとっては必須科目であった。
普段はバレー、バスケ、ソフトボールの3班で別れていたが、その日は生憎と雨で、全員体育館に集まっていた。
「さすがに大人数だね」
楽に単位が取れると言う事で、学科の半分はそれを取っていた。
服装はジャージ姿とTシャツに高校のハーフパンツなどのが半々だった。
○○も似たような格好だった。
同じ学科の人が集まるので、もちろんシャンクスやベックマンなどもいたが、遠く離れていた。
シャンクスは赤いジャージを何回か折ってはいていた。上はラフなTシャツだった。
「ほら、旦那いるよ」
友人がクスクスと笑う。あの時一緒にいた友人3だ。
「だ、……そんなんじゃないよ」
○○は顔を赤くして否定するとちらりとシャンクスの方を見る。
シャンクスと目が合うとシャンクスは嬉しそうに笑って手を振った。
○○は会釈だけするとすぐに顔を反らせた。
○○は他を向いてしまったので知らないが、初めて反応があったとシャンクスは喜んでいた。
広い体育館にコートが5面作られ、6人ずつ作られたチームでバレーボールをした。
1つのコートに3チームが付いて、1チームは審判だった。
ちょうど隣のコートではシャンクスが試合をしていた。
線審判と言う名の見学をしていた○○は自分のコートよりそちらをチラチラと見ていた。
ローテーションで○○の近くにシャンクスが来た時、「頑張って」と声をかけたらシャンクスは心底驚いた顔をしてから嬉しそうににかりと笑った。
それからのシャンクスの鬼気迫る迫力は少し恐怖を覚えた。
講義時間が終わり、各コート片付けをしていた。
○○は使用したネットをたたんで片付けようとしたところへ
ーーゴンッ
と凄まじい衝撃を受けた。
○○の後ろで片付けをしていた人が支柱を振った瞬間それに運悪く当たってしまったのだ。
「○○!!!」
遠くから自分を呼ぶ声がしたところで意識は遠退いた。
「ん?」
目を覚ますとそこは見慣れない場所だった。
「っ!!起きたか!」
「え?シャンクスくん?」
突然声をかけられ驚いて見るとベッドの横にシャンクスがいた。
体を起こすと病院の様に見えた。
「ここは?」
○○は少し頭痛のする頭を添えながら辺りを見回した。
「保健室だ。バレーのポールで頭を打ったんだ。覚えてるか?」
シャンクスは心配そうに○○の顔を覗き込む。
「……あ、うん。何か当たって痛かったよ」
○○は苦笑しながら頭を撫でると確かにそこに小さいがコブがあった。
「はぁ……。悪い」
「っ!!」
シャンクスはベッドの端に腰かけて○○を抱き締めた。
「ちょっちょっと!」
○○は突然の出来事に慌ててシャンクスを離そうとした。
「肝が冷えた。本当に」
シャンクスは苦しそうに声を出す。
「……」
シャンクスのあまりにも辛そうな声に○○は抵抗を止めた。
「○○さんが倒れるのに気付いて、全身が冷たくなった。動かなくて、このまま目が覚めなかったらと思ったら……」
ギュッと○○を抱く腕を強くした。
「…………ごめんなさい」
○○は困った様に頷いた。
こんなにもシャンクスが心配してくれた事に○○は戸惑いと共に嬉しさが胸の中に芽生えていた。
「……無事で良かった」
シャンクスは腕の力を緩め、○○と向かい合った。
「……」
「?」
シャンクスがゆっくりと○○に近付く。
何だろうと○○はジッとシャンクスを見る。
「…………はぁ」
シャンクスはがっくりとして○○から離れた。
「??」
「着替えと荷物を持ってくる」
「あ、うん。ありがとう」
シャンクスは苦笑しながらその場から離れた。
「……はぁ」
「何してるんだ」
「ベックマン……」
「……」
「キスの雰囲気だと思ったんだけどなぁ」
「……」
「気付いて貰えなかった……」
「お頭の事が興味ないんだろう」
「っ!!!マジか?!」
[ 3/5 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]