05
「これね、美味しいんだよ!」
コンビニで買ってきたチョコを差し出す。
「…………」
ローはそれに手を伸ばす。○○も同じタイミングでチョコの箱を持ち上げてしまい、ぶつかってしいチョコがこぼれた。
「あっ、あー、ごめんね」
○○が慌てながらチョコを追いかける。コロコロとローの長い足にぶつかった。
「良し!取れた!」
○○がそれを取る。
顔を上げると予想以上に近い位置にローの顔があった。
「ご、ごめっ!!」
首の後ろをローの手が押さえていた。
近付いて来たローに慌てて目を瞑る。
(っ!うわぁ!当たってる!)
唇に当たる感触に体全身が熱くなる。
ゆっくりと離れるそれに○○は怖々目を開いた。
「真っ赤だな」
ニヤリと笑うローの顔に○○の体は沸騰寸前に追い込まれていた。
「だって!」
「喋るな」
ローに言われ慌てて口を閉じる。
「ふっ」
首の後ろにある指が首を撫でた。
○○の口から空気が漏れるような声がする。
「○○」
自分の名を呼ばれ目を開けてみる。そのタイミングでまた口付けられた。
ギュッと口を真一文字に閉じて目も固く閉ざしていたらローから笑いが漏れた。
ローは指で○○の首や背中を撫でる。
「んんっ」
くすぐったさに○○の口が開く。そのタイミングを逃さずにローは自らの舌を侵入させた。
「はっ…………んっ」
○○はどうしたら良いか解らずにされるがままであった。
手はローの服を掴んでいた。
「ん?っわぁ!!」
ローに背中を支えられていたはずが、急に肩を押された。
驚いた拍子に背中から床に倒れ込んだ。
「……色気のねェ悲鳴だな」
ローはニヤリと笑いながら○○の上に四つん這いになっていた。
その表情が余りにも綺麗で○○は穴が開きそうな程に見惚れた。
ローの顔が再び近付いて来た所で慌てて目を瞑る。
「ククク」
ローの笑い声が聞こえ、再び唇を奪われる。
「へ?っ!!」
「…………どう言うつもりだ」
ローの手が服の中に侵入して来た所を○○が全力で掴まえた。
ローは不機嫌に声を出す。
「いや、だって!」
○○は真っ赤な顔でローを見上げる。目からは涙が溢れそうな程に潤っていた。
「…………風呂か」
ローはため息をつき、○○の上から退く。
「いや、あの……」
「こっちだ」
ローは急かすように無理矢理○○を立たせると風呂場へと連れていく。
「あのね、ロー君」
「何だ?一緒に入るか?」
ニヤリとローは笑った。
○○はそんな事をしたら心臓がもたないと首を左右に激しく振った。
「まァそれは追い追いで良い。タオルはそこのを使え。じゃなあ」
ローは扉を閉めると○○は風呂場へ続く洗面所に取り残された。
「…………え?展開が早過ぎて付いて行けないよ」
○○が洗面台の大きな鏡に写る自分を見ると、これでもかと言う程に真っ赤だった。
仕方なく服を脱ぎ、風呂場へと足を進める。
「これってデザイン建築って奴なのかな?お洒落」
○○は大きくてクラシックなシャワーヘッドを見ながらお湯を出した。
「っ!冷たい!」
お湯が出るまでは少しかかったが、体の熱を取るには丁度良かった。
「おい」
「ひぃっ!!!」
モザイク入りの半透明のガラス扉の向こうでローの声がした。
「着替えだ。適当に使え」
「あ、ありがとう!」
○○の礼の声を聞いて、少しの間そこにいたが、ローは何も言わずにその場を離れた。
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