エピローグ

「……いつまでそうしている気だ」

ローは呆れがならも抱き付いている○○を無理矢理剥がそうとはしなかった。

「ごめんね、ロー。私が間抜けに捕まったりするから……」

○○は泣きそうになりながらも懸命に堪えていた。

「別に良い。……俺は俺の復讐の事で一時期お前の事を忘れていたしな」

「え、えぇ?!!」

ローの言葉に驚いて顔を上げるとローの笑った顔と向き合った。

「……ロー、泣いてる?」

「泣くわけないだろ」

○○は心配そうにローの頬に手を振れさせた。

「……復讐、果たせたの?」

「……本人はいなかった」

「……そう」

○○はローを引き寄せて自らローへと口付けた。

「良かった」

「良くねェよ。こっちは13年間も機会を伺ってたのに。全部パーだ」

「良かった」

ローの自傷気味な言い方に○○は嬉しそうに笑った。

「ロー。これからもずっと私といてね」

「…………あァ」

○○の素直な心からの言葉にローは○○をきつく抱き締めた。


それからボロボロのスーツ姿のシャチ、ペンギン、エースは優子とボニーと合流し、○○と無理矢理式場まで連れて来られたローも無事に卒業式を迎える事が出来た。







後日、太平洋で自家用ジェット機が墜落する事故がメディアで取り上げられたが、皆の記憶に残るものではなかった。







そして数日後。

「うう……」

「はー!ずびっ」

晴れ渡る空の下、エースと優子の結婚式は無事に執り行われた。出席者はそうそうたる顔ぶれで、○○は緊張していた。

そして帰り道。○○とシャチは涙と鼻水でハンカチを濡らしていた。

「シャチ、いつまで泣いてるんだ?」

ペンギンは呆れながらポケットティッシュをシャチへと差し出す。

「だっでよー!!!優子の手紙とか泣けるだろ!!!うおー!!!」

「……」

「……」

シャチの号泣にペンギンとローが引きながら黙った。

「だよね。良かったね!優子!わー!!」

「……」

「……」

○○の号泣にもペンギンとローは呆れたように見た。

「結婚式良いな!良し!俺も彼女作る!!」

シャチは鼻をかんでから気合いを入れるように拳を握り、叫んだ。

「うん!頑張って!」

○○も気合いを入れるように拳を握る。

「おう!○○も結婚したくなったんじゃないか?」

シャチは良いながらチラリとローを見る。

「うーん」

○○も考えるようにローを見上げる。

「…………結婚する気はねェ」

ローは眉間にシワを寄せながらキッパリと言い放つ。

「だよね。そんな気はした」

○○は残念そうに微笑んだ。
そんな○○の笑顔にローの胸はチクリと痛んだ。

「なら、俺とするか?」

「え?」

「は?」

「っ?」

ペンギンの言葉に○○、シャチ、ローまでも驚いて振り返る。

「○○さえ良ければ、だが」

「え?えー…………っと?」

にこりと笑うペンギンの顔は本気か冗談かはかりかねた。

「……結婚はしないが、離すつもりはねェ」

「っ!!!」

予想外に強い力で引き寄せられ、加えて力強い声で言われた言葉に誰もがローを振り返る。

「うふふ、ごめんね!ペンギン!!」

嬉しそうに顔を赤く染め、○○はペンギンを振り返る。

「あァ、フラれたな」

ペンギンは驚きの顔から楽しそうな顔になる。

「行くぞ」

ローは○○の肩を抱いたまま踵を返し、○○はローに引かれながらもペンギンとシャチに嬉しそうに手を振った。

「ほら、いつまで呆けてやがる。行くぞ」

ペンギンがいつまでも驚いた顔をして固まっているシャチの背中を叩いた。

「痛ェ!!え?キャプテン!!!○○だけじゃなくて、俺達の相手もしてくださいよー!!!」

シャチの言葉は嫉妬のようだが、シャチの声は2人を祝福していた。








君の前では素直な自分になれる



いつまでも、時間が許す限り素直に君を愛す



それが自分のこれからの時間









***





○○様!!ここまで読んでいただきましてまことにありがとうございます!!!

これにて「素直な時間」完結でございます!!!

いやー、他の「時間シリーズ」に比べても長くなってしまいましたね!

始めはリクエストから始まった「素直な時間」。何とか形になってホッとしてます。

そして!ようやくエースと優子様も結婚式を挙げられて良かった!!原作にはない22歳エース!式場には白ひげ海賊団はじめ、赤髪もロジャーもサボもフーシャ村もガープじいちゃんもいっぱい来るんでしょうね!!


ローとペンギン、シャチ。それから猫ベポも書けて楽しかったです!

読んでくださった方も少しでも楽しんで頂けるば幸いです!!!


本当にありがとうございました!!!


2014/08/24   朝田華

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