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「……遅ェ」

気付けを終わらせたボニーがポツリと呟いた。

「まだかな?お腹でも壊したのかな?」

優子も心配そうに声を出す。

「ちょっと見てくる。優子は先に化粧してろ。つーか、化粧台確保してろ!」

ボニーはそう言うと慣れない袴で走り出した。

トイレまで来たが誰もいない。

「何だ……嫌な予感が……」

ボニーは小さく呟く。辺りを見回すと名刺のような小さな紙が落ちていた。

「『倉庫で待つ。ジョーカー』」

ボニーはそれを持つと再び駆け出した。





「トラファルガー!!!」

優子と合流したボニーが建物の外で待つローへ駆け寄った。そこにはペンギン、シャチ、エースも合流していた。3人は卒業式様にスーツを着込んでいた。

「……○○はどうした?」

ローは2人だけしか姿がない事に眉間にシワを寄せた。

「解らねェ!!」

「どう言う事だ?!」

叫ぶボニーに苛立たし気に詰め寄るロー。

「着付け前にトイレに行くって言ったきり帰って来なくて!!探しに行ったらこれが」

ボニーは焦っているせいで早口で捲し立てる様に声を出し、ローへと先程の名刺のような小さな紙を差し出した。

「『倉庫で待つ』…………『ジョーカー』」

「っ!!!」

「それって!!!」

ローの読み上げた言葉に反応したのはペンギンとシャチだった。

「キャプテン!!!」

「俺達も行くぞ!!」

「おう!!!」

突然駆け出したローを追うようにペンギンとシャチも駆け出した。

「ボニー!優子を頼む!」

エースも駆け出そうとしながらボニーへ声を出す。

「エース!待って!」

優子はエースのスーツを掴んだ。

「ねぇ!何があったの?最近ローくんもエースもおかしいよ!何かあったなら私も……」

優子は不安そうにエースへと捲し立てる。

「……」

エースは優子に向かうと優しく両手で優子の頬を包んだ。

「前にも話したが、俺は4年前好きだった女が酷い目にあわされてるのにただ喚くしか出来なかった」

「…………」

エースの真剣な表情に優子はただ黙って頷くしかなかった。

「俺はお前と結婚するためにもけりを着けてくる」

エースは噛み締める様に言葉を紡いだ。

「でも!あの時はシャンクスさんもいたんでしょ?!」

「今の俺は昔と違う」

焦る優子にエースの真剣な顔が突き刺さる。

「…………エースはまだ幸子さんを……」

優子の顔が不安そうに歪む。

「馬鹿。ある訳ない。俺が愛してるのはお前だけだ」

エースは当たり前のようににかりと笑った。

「……」

優子は何も言えずに押し黙り、エースを見つめる。

「俺を信用して待ってろ」

「……うん」

エースの揺るぎない言葉に優子はようやく頷いた。

「ちゃんと準備して、俺とシャチ、ペンギン、□□の分の席確保しておけよ」

エースは屈めていた腰を伸ばすと優子の頭をポンポンと叩いた。

「……わかった」

「よし!じゃあ、行ってくる」

優子が頷くとエースは3人を追いかける為に走り出した。

「……エース」

優子は不安な思いを隠してエースの背中が見えなくなるまで見送った。







「あいつらなら大丈夫だろ。○○を連れて帰って来るさ」

「……うん」

「……おりゃ!」

「痛っ!!」

「しっかりしろ!あいつの嫁になるならこれくらいの事、日常茶飯事だろ!!」

「え、えぇ?!」

「なるぞ!絶対!!……だから、信じて待ってやれ」

「……うん。そうだね、うん!」

「さァ!!化粧して!綺麗になってあいつを驚かしてやれ!!」

「うん!ボニーちゃん、ありがとう!」

「……おう!」

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