25
「じゃあ、好きな様に使って下さい」
全身をローの着ていた服に着替え、仕上げにローのトレードマークである帽子を被るとペンギンは玄関へと向かう。
「あァ。念の為シャチに連絡した。悪いがベポの事を頼む」
「解りました」
ペンギンは「それじゃあ」と言うと帽子を深くかぶり外に出た。
「これでひとまずは良い」
ローはホッと息を吐いた。
「……ロー、ペンギンは」
○○は閉まった玄関を見てからローへと振り返る。
「俺の代わりにマンションへ帰らした。ベポの世話もあるしな」
ローは立ち上がると勝手知ったるペンギンの部屋でコーヒーを淹れ始める。
「でも……大丈夫かな?その……怖い人なんでしょ?」
○○は不安になりながら声を出した。
「……手は打った」
ローは静かに口を開く。
「……でも」
「それともお前は俺じゃなく、ペンギンと2人の方が良いのか?」
○○の言葉を遮りながらコーヒー入りのカップを両手に持って不機嫌なままローはローテーブルまでやって来る。
「え?」
「何だ?お前はあいつの中ではペンギンの彼女になったんだ。それを俺が楽しく見てるとでも思ったのか?」
「…………」
ローの言葉を呆気に取られながら○○は聞いていた。驚きのまま固まった。
「何だ?」
「……いや、ローってば、可愛い」
○○は驚いたままの顔で呟いた。
「ほぅ、俺が焼き餅を妬くのがそんなに楽しいか?」
ローはニヤリとしたまま○○に近付く。
「え?ちょ!ロー?」
「そう言えばお預け喰らってたな」
「ちょっ!ここペンギンの部屋!!」
「燃えるだろ?他の男の臭いがして」
「なっ!!!それ、変態みたいです!!!」
「そうか」
焦る○○を押さえ込むとローはそのまま組み敷いた。
ローは眠る○○の髪を静かに撫でた。
これからどうするか?計画を実行に移すか、それともまだ時期ではないか?
彼女に興味を抱いていたら厄介だとローは深いため息をついた。
恩人の復讐の為にドフラミンゴを破滅させる。そう考えているローだが、ドフラミンゴは一筋縄では行かない。
前も呼び出されて行ったが居なく、代わりにローの部屋の中を滅茶滅茶にされた事があった。
全ては自分の気分次第。
ドフラミンゴはファミリーと呼ばれる仲間には優しいが、少しでも仁義を欠くと報復は恐ろしい。
「……お前は俺が」
ローは眠る○○に小さく声をかける。恩人の復讐、そして彼女だけは守る。
例え、自分がどうなろうとも。
ローは人知れずそう誓いを立てていた。
いつ、どう仕掛けるか、そう考えながらローは大学の校内を歩いていた。
「おい」
呼ばれて振り返るとそこにはエースが立っていた。
「……なんだ」
ローはエースから視線を反らした。
「最近忙しそうだな?裏で何してる」
「……お前には関係ない」
変な所で妙に勘が良い男だとローはエースを思っていた。
「そんなことはねェだろ!!!」
「……麦わら屋」
怒鳴ったのはエースの弟のルフィだった。
「なっ!お前!何しに来た!」
驚いたのはエースだった。エースはルフィに叫ぶ。
「やっと卒業式で結婚式だって騒いでたエースがなんか変だったからな!」
ルフィはどんっ!と腕を組んだ。
「…………ルフィも心配してるぞ、ロー」
エースは歩き出したローに声をかける。
「心配などいらない。お前らには関係ない」
ローは立ち止まらずに声を出す。
「ドフラミンゴ」
「……」
エースの言葉にローは歩みを止める。
「やっぱな。さっき、新聞読んでるお前から殺気が流れてた。記事見たらこいつだ」
エースはその新聞記事に目を通す。
「会社経営者。年商8億円。まァ、表向きの年商だろう」
「ねんしょう?」
ルフィが不思議そうにエースの持つ新聞に興味を持つ。
「……」
「裏じゃ密売、薬、脅し、恐喝…………叩けば埃だらけだろうな」
エースは面倒臭そうに新聞をルフィに渡す。ルフィは新聞を眺めるが1秒で新聞をゴミ箱へ投げ入れた。
「……何が言いたい」
ローはエースを睨み付けた。
「こいつには俺も貸しがあるって事だ」
エースはニヤリと笑った。
「…………」
ローは小さくため息をついた。
「同盟でも組めってのか?」
ローはエースとルフィを交互に見た。
「お前が望むなら、な」
「おう!同盟でも組んでやる!」
エースとルフィは同じようにニヤリと笑った。
「ところでどうめいってなんだ?」
「…………」
「…………兄ちゃんお前の将来が心配だよ」
「そうか!!」
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