22
ローに呼び出されたシャチとペンギンを引き連れ、○○の引っ越しが始まった。
「俺は車借りてくるよ。ついでにベポのトイレとかも買うな!」
シャチは嬉しそうに言うと出て行った。
「○○は服を、俺は本をやる。ペンギンはキッチンだ」
「はーい!」
「アイアイ!」
ローの号令で3人は荷造りを始めた。
「えーっと、これを」
一人暮らしだが、4年も経てばかなりの量になる。
集中してやると大分片付く。一時間ほどすると車と共にシャチも参加し、どんどん部屋は片付いていく。
「後はエアコンかぁ。さすがにこれは業者かな?」
○○は物の無くなった部屋でエアコンを見上げた。
「大丈夫だ」
ペンギンが脚立を持つとエアコンに手をかける。
「え?ペンギン出来るの?!」
○○は驚いてペンギンを見上げる。
「あァ。色んなバイトしたからな。それに電気系は得意だ」
ペンギンはそう言いながら慣れた手付きで作業を進める。
「凄いね!!」
○○は素直にペンギンを褒める。
「……良いから掃除でもしてろ」
ペンギンは柔らかく笑うと雑巾を投げる。
「はーい!」
○○は雑巾を受け取ると部屋を掃除し始めた。
「うわ……何もない」
少し寂しそうに部屋を眺めた。
「そうだな」
ローが○○の横に並んだ。
「……今更だけど、本当に良いの?」
○○はそろりとローを見上げた。
「何がだ?」
ローは○○を見下ろす。
「その、ローの部屋に行って」
○○は申し訳なさそうにローを見上げる。
「……ダメだと行ったらどうする?」
ローは真面目な顔で聞いた。
「ど、どうしよう……!!!」
○○は慌てたようにローを見上げる。
「ククク、さァ行くぞ」
「あっ!うん!」
ローが○○の手を握ると○○は驚いたが、嬉しそうに笑った。
「あ!トラ男だ!」
「……麦わら屋……」
外に出ると元気な男の声にローが振り返る。
「俺を置いてスキーに行きやがって!!ふざけんな!!」
突然怒り出した麦わら帽子を被った男にローは面倒臭そうに「うるさい」の手をかざした。
「お前も他の連中と行ったんだろ」
ローはため息混じりに言う。
「一緒に行けば良いじゃねェか!!」
ぶーと男は頬を膨らませた。
「……?」
誰だろうと○○は男を見る。
「あ?お前誰だ?」
男がふとローの隣にいる○○に目線をやる。
「誰でも良い……」
ローは面倒臭そうに○○を引き自分の後ろに隠した。
「ふーん、まっ!良いや!」
「良いの?!」
男の言葉に思わず○○は突っ込みを入れる。
「だはは!!何だ?こいつ、変な奴!」
男は○○の反応が面白かったのか、笑いながら覗き込んだ。
「うるさい」
ローは男を遠ざけようと試みる。
「あ!あれか!トラ男の恋人って奴だな!エースと優子みてェだもんな!」
男はぽんっと手を叩いた。
「え?優子?」
○○は知っている名前に思わず反応をした。
「お!知ってるのか!俺はルフィ!エースは俺の兄ちゃんだ!」
麦わらの男ーールフィはにかりと笑った。
「○○です。宜しく」
ルフィの差し出した手を○○が握った。
「ちなみに同じ大学だ」
ローはため息混じりに補足した。
「そうなんだ!じゃあ、私の方が先輩だね!」
○○はにこりと笑った。
「そうなのか。エースも優子も卒業だしな。まァ、トラ男が残るから良いか!留年だっけ?」
ルフィは不思議そうにローを見上げる。
「医学部は6年だ」
ローは不機嫌そうに言う。
「そっか!」
ルフィはローの不機嫌も気にせずにかりと笑った。
「ルフィ!ここにいたのか!突然走るなよ」
赤髪の男が少し困った顔で笑いながら近付いて来た。
「……」
「おう!シャンクス!」
ルフィは笑顔で迎えるが、ローが緊張するのがわかった。
「友達か?」
「おう!」
シャンクスの問いにルフィは楽しそうに答える。
「これからもルフィと仲良くしてやってくれ」
「あ、はい」
「……」
雰囲気のある男に○○は緊張気味に頷き、ローは終止無言だった。
「じゃーなー!」
ルフィは赤髪の男に連れていかれて立ち去った。
「……?ロー?」
○○は不機嫌そうにローを見上げた。
「……行くぞ」
「あ、うん!」
ローに引かれ、シャチとペンギンがいる駐車場まで急いだ。
「何してたんっすか!」
「もう準備は出来てますよ」
「…………あァ」
「キャプテン?」
「……赤髪屋がいた」
「「?!」」
「麦わら屋といた」
「なるほど」
「仲が良いとは聞いてたけど……」
「まァ良い。行くぞ」
「「アイアイ!」」
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